マツダ「CX-3」がイマイチ売れていない理由 ディーゼルへのこだわりがもたらした誤算
しかしながら、日本の顧客はこういうクルマの売り方、買い方に慣れていないのも事実である。指名買いのユーザーには問題ないだろうが、多くのユーザーは同じクラスの複数のクルマを比較して買う。「いくらで買えるか」は大事な要素になる。
ガソリンエンジンの選択肢がない
その点で特に厳しい立場に置かれているのが、今回商品改良を実施したCX-3ではないかと思われる。理由は日本で買える乗用車で、唯一のディーゼルエンジン専用車だからだ。
近年のディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに遜色ないほど排出ガスがクリーンになった。そのうえで日常的なシーンでの力強さに直結する最大トルクはガソリンを大きく上回り、燃費も良い。ただしそのために高度な燃焼技術や後処理装置を必要としており、同じ排気量で比べると車両価格はガソリン車より高くなる。
そのため欧州車の中には、ガソリン車は低価格、ディーゼル車は高性能と、はっきり色分けした車種も存在する。アクセラと同クラスのプジョー308は、ガソリンは1.2L直列3気筒ターボが主力なのに対して、ディーゼルは1.6L直列4気筒ターボと、ひとまわり大きなエンジンをメインに据えている。
アクセラ・スポーツ(ハッチバック)の1.5Lで見ても、ガソリンエンジンは自然吸気ということもあって約176万円から設定されているのに対し、ターボを装着したディーゼルエンジンは約230万円からと、50万円以上の開きがある。
しかしCX-3だけはガソリンエンジンの選択肢がない。そのため最低価格は237.6万円からと、最大のライバルとなるホンダ「ヴェゼル」のハイブリッド車と同等であり、200万円以下のグレードもあるヴェゼルのガソリン車に相当するグレードはない。スターティングプライスが190万円台と230万円台というのは大きな違いだ。
たとえガソリン車にほとんど興味がなく、燃費・環境性能の高いディーゼル車やハイブリッド車を選ぼうとしているユーザーでも、200万円以上のクルマということで、自動的に候補から漏れてしまう可能性もある。
しかもインターネットの書き込みを見ると、現在のマツダ車が大幅値引きが期待できないことはクルマを買おうとしている人にかなり浸透している。
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