マツダ「CX-3」がイマイチ売れていない理由 ディーゼルへのこだわりがもたらした誤算
この状況を打開するために、マツダは今年7月には「アクセラ」、8月には「アテンザ」の商品改良を実施。続いて今回デミオとCX-3にも手を加えた。今年8月の国内販売台数を前年同月と比べると、アクセラが同2.4倍、アテンザが83%増と大幅に伸びている。この勢いがデミオとCX-3にも波及すれば、前年超えが実現できるというのがマツダの目論見らしい。
なぜマツダの国内販売は停滞してしまったのか。理由のひとつに、2012年発表のCX-5以降の「新世代商品」の売り方が、これまでの日本車とやや異なることがあると考えている。
すべての車種をつねに最新スペックでそろえたい
自動車メーカーは、2015年はA車、2016年はB車というように、新型車の登場を分散させることが多い。開発の負担を分散できるだけでなく、継続的に顧客を販売店に呼び込みやすくなる。
一方、マツダは前述したように、3年間で6車種を送り出した。その結果、2016年は新型車が皆無という状況になった。モデルチェンジをうまく分散させれば、1年に1車種は新型車を用意できたはずだ。
もちろんそこには理由がある。すべての車種をつねに最新スペックでそろえたいという作り手の意向を反映したものだ。今回のデミオとCX-3を含め、マイナーチェンジという言葉は使わず、商品改良と称しているのも同じ理由による。マイナーチェンジの中には、スタイリングやインテリアを少し変えただけで、メカニズムはそのままという例もある。マツダの進化はそうではないことを、言葉でもアピールしているのだ。
新技術の投入にも思想は表れている。たとえば、ドライバーのハンドル操作に応じてエンジントルクを緻密に変化させ、自然で滑らかなハンドリングを実現する最新技術「G-ベクタリングコントロール」は、7月のアクセラにはじまり、8月のアテンザ、10月のデミオ、CX-3と、あっという間に4車種への装備を完了した。
近年のマツダは、こうしてラインナップの鮮度を保つ代わりに、大幅な値引きはしない販売姿勢も徹底してきた。
かつてのマツダ車は値引き率が大きく、それが中古車市場の相場を下落させた。他メーカーへ乗り換えようとすると下取り価格が安いので、マツダ車を乗り継ぐユーザーが多い状況は、「マツダ地獄」とまで呼ばれた。この状況を改善するための戦略だ。
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