映画「君の名は。」にJR東日本が惚れた理由 大ヒットに隠された鉄道描写だけでない狙い
たとえばDVDレンタル大手のゲオが、この夏に実施した「映画をもっと楽しもう!」キャンペーン。映画の声の出演者がタイアップCMに登場し、映画鑑賞の面白さを語った。「ゲオ様にも大変好評で、成果の上がったタイアップだったと伺っています」(ジェイアール東日本企画)。
親会社のJR東日本とは、同社が展開する、東京の街を楽しむ「FUN!TOKYO!」キャンペーンとタイアップして、映画の劇中シーンに「FUN!TOKYO!」のポスターを登場させたほか、映画の舞台となった新宿、代々木など6駅をめぐるモバイルスタンプラリーを実施した。
さらに、新型山手線車両「E235系」をジャックし、「君の名は。」の広告とタイアップ企業の広告で電車を埋め尽くす展開を行なった。「ファン垂涎の企画として、SNSでも話題になりました」。
当初は、鉄道のシーンが多いからジェイアール東日本企画が出資したのかと思われたが、練り込んだタイアップ展開が行なわれたようだ。成功すればタイアップによる利益のほか、映画の知名度向上にもつながる。広告代理店ならではの相乗効果の高いビジネスといえる。
JR東海の列車も活躍
ところで、「君の名は。」には、JR東海エリアの鉄道シーンも多く登場する。東京に住む男子高校生や友人たちが東海道新幹線に乗って、田舎町に住む女子高生に会いに行く。名古屋駅で新幹線から乗り換え、JR東海の在来線エリアをめぐる。特急「ワイドビューひだ」などの列車が登場する。
JR東海はこの映画の制作協力会社には名を連ねていない。実は、映画の中で現実の東海道新幹線ではありえないシーンが登場する。映画の評価を左右するほどではないが、なまじ絵がリアルに描かれているだけに、かえって違和感が際立つ。映画の制作スタッフとJR東海の間でコミュニケーションが取れていればこうした描写は避けられたはず。JR東海にとっても自社エリアの観光貢献につながる。今後、映画と鉄道会社の距離がもっと近くなれば、お互いにとっていいことに違いない。
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