大宮vs柏、「駅周辺」が賑わっているのは? 「似ているようで差がある」2つの街を大比較
柏市は、2005年のつくばエクスプレス開通で同線の柏の葉キャンパス駅周辺の開発が進み、同駅前にある商業施設「ららぽーと柏の葉」などが人を集めるようになった。また、この地域に暮らす人も増え始め、郊外を走るつくばエクスプレス沿線に新たな街の重心ができるようになってきた。その他にも、郊外型のショッピングセンターが買い物客を集めるようになってきている。
柏駅の場合、同駅を核としない商業施設が増え始め、それが駅周辺、あるいは駅の中のにぎわいを失わせているように思える。なぜ、大宮は鉄道が強いのか。歴史をたどると、その理由が見えてくる。
もともと大宮駅周辺には、国鉄時代から大宮工場(現在は大宮総合車両センター)があり、鉄道との関わりが深い。また、JR東日本には大宮支社があり、経営上のひとつの拠点ともなっている。大宮には「鉄道の街」としてのアイデンティティがある。むしろ、鉄道の発展にともなって大宮が栄えるようになったという歴史があったのだ。大宮駅の南側で開発が進んでいるさいたま新都心駅周辺も、もともとは大宮操車場だった場所である。
大宮は鉄道とともに発展した
さまざまな面で似ている大宮と柏の違いは「鉄道」にあった。しかも、路線環境や運行状況ではなく、鉄道の歴史・発展が街を栄えさせ、求心力を高めていった。
鉄道は、単なる乗り物ではない。人々のアイデンティティの中核ともなるべき乗り物である。大宮という街と鉄道の強い結びつきが大宮を発展させ、活気あふれる街をつくってきた。
大宮と柏は東武野田線によって結ばれている。最近「東武アーバンパークライン」という愛称がつけられた同線は、6両編成の電車がおよそ10分おきに走り、最近では急行運転も一部区間で行われるようになった。
だが、区間によっては単線のところもあり、大宮から柏までは1時間以上もかかる。大宮や柏から都心へと向かう太いパイプと比べれば、細い糸のような路線である。実際には、この二つの駅を結ぶというよりは、大宮や柏へ(あるいは船橋へ)と人を送り込むための役割を果たしているのが同線だ。
対東京の通勤という点でよく似た条件下にある二つの街は、野田線という細い糸でつながっている。だが、その糸を引っ張っているのは大宮のようだ。大宮の強さの背景には、「鉄道」そのものがあるのだ。
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