中国を攻めるならばWechatを攻略せよ ラグジュアリーブランドの戦略とは?
さらに各地域のイベントに関連した「WeChat」キャンペーンも展開。2016年1月6日から19日にバーバリーは、旧正月(2月8日)のためのギフトコレクションを披露した。「WeChat」ユーザーにはゴールドのラッピングが施された筒状のギフトの写真が送られ、「振ったり、クリックしたり、スワイプして開けてみて下さい」と伝えられた。
ユーザーは筒のなかの手紙を「開いて」読むことができ、メッセージをカスタマイズして友人・知人に送ることもできた。カスタマイズするオプションを選ぶと、バーバリーのカシミアマフラーの色をセレクトしたうえ、文面作成、そして友人に送付できる。
そうやってカードを送った後、「WeChat」上でバーバリーの旧正月コレクションから買い物できる仕組みになっている。またキャンペーン参加者たちは皆、バーバリーの限定封筒を抽選で当てることができた。当選者たちが封筒を店頭でピックアップすることで実店舗への客足を増やすこともでき、売上も促進することができるのだ。
コーチ(COACH)
バーバリーが「WeChat」を主にコンテンツマーケティングとカスタマーサービスに活用しているのに対し、コーチは製品のプロモーションとロイヤリティプログラムに重きをおいている。L2のリサーチによると、ファッションブランドのたった17%、時計・宝石ブランドの16%しか「WeChat」でのロイヤリティプログラムを実施していない。
ユーザーがコーチの「WeChat」アカウントをフォローすると、電話番号を入力してメンバー登録するよう促される。登録者には抽選でコーチのバッグが当たるという。メンバー専用のセクションでは、メンバーシップカードを管理し、限定のオファーを見ることができる。
ロイヤリティプログラムのほかには、「店舗発見(Discover Stores)」というメニューを使うと、ユーザーはコーチの公式サイトに飛ばされ、そこで地図を使って、最寄りの店舗を見つけることができる。2015年6月の時点でコーチは、日本、中国、韓国、台湾、マレーシア、シンガポールに500以上の直営店を展開している。
「WeChat」と「Weibo」を公式サイトとつなげる点でもコーチはうまい。たとえば2015年の母の日には、#MyFirstCoach(私の最初のコーチ)というキャンペーンを行った。それは多くの娘にとって、母親が人生ではじめての指導者・コーチであるという点にスポットライトを当てたものだった。「Weibo」のユーザーたちは自分と自分の母親が一緒に写った写真をアップロードし、写真がコーチのホームページに掲載されたら、同社の腕輪がプレゼントされた。