【渡邉美樹氏・講演】情熱と実行力のリーダーシップ(その2)

 

●社会に出ていく子どもを育てる

 また、『わたみ北海道自然学校』という小学生の子どもを対象にした学校の校長もやっています。今年で10回目になるんですけどね。今の子は「何のために君は算数の勉強しているの?何のために国語の勉強をしているの?」ということに対して答えられないんですよ。皆さんそういうこと、自分のお子さんと話したことありますか?何のために勉強するのか。それは社会に出て、例えば人と話す力や読み書きする力を育むことです。それによって何かを成し遂げていく。英語も何で勉強するんですか?受験のためではないですよね。国際社会に出ていく中で多くの人と交流をし、そして何かを成し遂げていくためじゃないですか。理科だって同じです。我々が仕事をしているときに一番大切なのは、観察力。それに対して仮説を立てて判断していく。それによって仕事はうまくいくわけです。だから理科は、非常に仕事に役に立つんですよ。
そんなことを小学校の子どもたちに言うと、みんなポカーンとしているんですよ。「この校長、何言っているんだろう」「いい点数取るために決まってるんじゃないか」という顔で。私自身、その教育に対してメチャメチャ頭に来たわけですよ。冗談じゃないと。この国はもう腐っていると。そして、「どうしようもないで終わるなよ。お前はどうするんだ」と天に問われたわけです。そのときに、「それなら私が最高の学校を作ればいいのだ」と分かったんですね。

これから子どもたちが減っていきます。私学の経営も厳しい環境だと思いますが、私が理事長を務める郁文館夢学園は去年もお陰様で順調でした。去年も今年も首都圏において最も入学希望者数が多い学校は、うちの学校ですから。でも偉そうなことは言えません。私がかかわる6年前までは、「全入」と言われていたんです。誰でも入れる。つまり、もうつぶれる寸前ですよね。しかし今は、本当に申し訳ないなと思いますが、400人以上の子どもたちが、もれてしまう状況なんですよね。それは残念だなと思うのですが、でもそれでほかの私学が慌てています。だから私は一生懸命教育の本を書きます。2冊書きました。なぜか。当学園を真似してくれればいいじゃないですか。

私は外食界からスタートしましたが、そのときに一番うれしかったのは、とにかくワタミが業界に入って居酒屋全体が変わったと言ってくれたことです。私は『つぼ八』というところで経営者をしていたのですが、そこで私が書いたサービス・マニュアルがあるんです。それをつぼ八の本社がそのまま使ってくれて、それが外にも出回って。
学校も全く同じなんです。真似してくれれば、みんないい学校になりますから。だから真似してもらえるような学校にすることによって、一隅を照らす灯火になり得るわけですよ。真っ暗なところでも隅っこに一つの光があれば、それが徐々に徐々に広がっていくわけです。
その3に続く、全7回)

渡邉美樹(わたなべ・みき)
1959年神奈川県に生まれる。1984年に有限会社渡美商事を設立し、経営が不振だった『つぼ八』の店舗を買い取る。24歳にしてフランチャイズ店オーナーとして起業する。1986年、株式会社ワタミ(現ワタミ株式会社)を設立。現在は外食、介護、農業、環境事業を展開するほか、NPO法人の設立や神奈川県教育委員会の委員を務めるなど、多彩な分野でその才を発揮している。
詳しくはhttp://www.watanabemiki.net

 

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