ホンダ、自動車メーカーで唯一増益の裏事情 決算発表を2週間延期し、業績への影響を精査

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5月4日、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)はタカタ製エアバッグのリコール対象拡大を指示し、乾燥剤を使用していないインフレーター(ガス発生装置)をすべてリコールの対象とした。これを受けてホンダは、2016年3月期第4四半期にインフレーター2100万個を追加でリコール対象とし、2700億円を品質関連費用として計上した。

リコールのために引き当てた費用は2016年3月期通期で4360億円と巨額だ。販売台数の増加やコスト削減などで3300億円あった増益要因はすべて、このリコール費用で吹き飛ばされてしまった。「リコール費用を除けばそれなりに利益は出ているが、タラレバを言っても仕方がない」(財務を担当する竹内弘平専務)。

ひとまずタカタ問題の会計処理を終えたことを発表した岩村副社長(記者撮影)

2015年3月期から2016年3月期の2期に渡って積み上げた5560億円のリコール費用をもって、乾燥剤なしのインフレーター累計5100万個分は「すべての引き当てが済んだ」(岩村副社長)ことになる。これにより会計上はやっとタカタ問題にメドがつく。今期に為替影響による3030億円の減益要因を吸収し、自動車メーカーで唯一の営業増益が見込めるのも、前期の巨額リコール費がなくなることが大きい。

タカタとの費用分担は難航が予想される

とはいえタカタ問題の先行きはまだ不透明。リコール費用の分担については、エアバッグ異常破裂の原因究明調査の結果に基づいてタカタと交渉を開始する予定だ。場合によっては前期までに計上した費用の一部をタカタに請求し、今期以降に戻入益が発生する可能性も残っている。ただしタカタの費用負担が重くなった場合は、同社が債務超過に陥って支払い不能になる可能性もあるのが悩ましいところだ。

乾燥剤が入っているインフレーターについては、現状は問題がないという前提で使用しているが、これらも2019年末までにタカタが安全性を証明できなければリコール対象が乾燥剤入りのものにまで拡大するリスクが残っている。タカタ問題はいつまでホンダを翻弄することになるのだろうか。

宮本 夏実 東洋経済 記者

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みやもと なつみ / Natsumi Miyamoto

自動車メーカー、部品会社を担当

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