三越伊勢丹、「爆買」訪日客単価3割減で急失速 宝飾品や時計など高額品売り場の客数まばら

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今2017年3月期に入った4月の状況はさらに厳しい。同月の免税売り上げは、日本で免税対象範囲が拡大され、訪日客消費が拡大した2014年10月以来、初めて前年同月を下回った。客数は依然として16%程度伸びているが、宝飾品や時計といった高額品が売れず、客単価は3割程度下落しているという。5月11日午後の三越銀座店も、宝飾品売り場の客は少なかった。目立ったのはドラッグストア「マツモトキヨシ」の袋をいくつも提げた中国人たちだ。銀座店のそばにあるマツキヨで買い物をした帰りと思われる。

1月にオープンした三越銀座の8階の空港型市中免税店も、利用者からは「人気の化粧品売り場でも客足がまばら」との声がある。わざわざエレベーターで上まで移動しなければいけないこと、購入した商品の受け取りが成田・羽田の2空港に限られ、LCC(格安航空)でそのほかの空港を利用する客にとって利便性がないことなどが影響し、今のところの売り上げは計画に届いていない。

富裕層も前年割れ、郊外店がより深刻に

追い打ちをかけるように1~3月期は富裕層の消費も前年割れとなった。株安が響いている。

訪日客にも富裕層にも依存できなくなった今、三越伊勢丹は国内中間層と地方百貨店の低迷という、従来の課題と正面から向き合わざるを得ないことになったのだ。

実は、2016年3月期の百貨店事業の売上高は、免税売り上げの影響を除けば前期比減収だった。免税売り上げが602億円へ前期比284億円増えたおかげで、百貨店事業の売上高は1兆1873億円へ145億円増やせたにすぎない。国内ブランドの衣料品が苦戦した。

三越銀座店。中国人の客数は相変わらず多いが、宝飾品売り場の客は少ない(記者撮影)

都内の三越銀座店や伊勢丹新宿店も、通期で見れば堅調だったが、2016年1~3月期では前年割れ。事態がより深刻なのは、首都圏郊外型店だ。伊勢丹立川店は2期連続で10億円以上売り上げを減らし、伊勢丹相模原店、三越千葉店も非常に厳しい状況となった。

こうした郊外型店の場合、過剰在庫となることを恐れて、衣料品の色やサイズを十分に仕入れられないこともあり、一段と売れなくなるという悪循環も起こりうる。粗利の高い衣料品の苦戦は、利益の減少に大きなインパクトを与える。中間層の消費が依然として非常に厳しいなか、今期も同様の環境が継続する見込みが高い。

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