「Wii U」で逆ザヤ、任天堂が業績減額
「Wii U」に“逆ザヤ”が発生――。任天堂の今期業績が期初計画から下振れする可能性が高まった。
任天堂は10月24日、2012年4~9月期(上期)の決算発表に合わせ、今13年3月期の通期業績見通しについて下方修正を発表した。会社側の期初計画に比べ、売上高は100億円下振れの8100億円、営業利益は150億円下振れの200億円、純利益は140億円下振れの60億円というのが修正後の計画だ。東洋経済予想も会社の修正計画に合わせる。
下方修正の主な要因は、対ユーロでの円高に加え、新型据え置きゲーム機「Wii U」の製造コストが未実現損失として認識されたため。
上期の為替は対ドルでは大きく変動しなかったものの、対ユーロでは円高に振れた。会社は下期(12年10月~13年3月期)における為替の前提レートとして、米ドルについては1ドル=80円を据え置いた一方、ユーロについては1ユーロ=100円(従来は同105円)に修正した。これが下期の売り上げに大きく響くことになる。
また、「Wii U」は日米豪欧で年末に発売予定で、すでに出荷も始まっているが、販売はいちばん早い米国でも11月18日。このため製造コストが先行計上される。9月13日に発表された希望小売価格は記憶容量8ギガバイトの「ベーシックセット」で2万6250円、同32ギガバイトの「プレミアムセット」でも3万1500円。タッチパネルを搭載したゲームパッドは製造コストがかさみ、売り出した当初は生産台数も少なくハードのみでは逆ザヤが発生する。
岩田聡社長は「ハード単体の収益ではなく、ソフトと組み合わせて健全なビジネス展開ができるかが重要」と語り、逆ザヤ解消のメドこそ言明しなかったが、年末から来期にかけ連続投入するソフトとの相乗効果で収益を上げられるとした。
ただ、通期ではこのユーロ安と「Wii U」の製造コスト先行と逆ザヤが響くため、会社側が今回修正したように業績の下振れは避けられないものと見られる。
(筑紫 祐二 =東洋経済オンライン)
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