JR高崎線の火災事故は、なぜ長期化したのか 全線再開まで3日もかかったトラブルの原因
まず、漏電が起きたというのは、「つながってはいけない」部分が電気的につながって短絡(ショート)が発生したということだ。
具体的には、絶縁体である磁器製の碍子2つを連結していた太さ19ミリの鉄製部品が断裂して、1500ボルトの直流電流が流れる電線が鉄製の「はり」に接触して漏電したと発表されている。また別の報道では「碍子が老朽化した」として、実際に短絡(ショート)を起こした碍子の写真も公開されている。
実際に何が起きたのだろうか? まず、碍子2つが連結されていること、切れたことで大電流が漏電したことから、問題が起きたのはパンタグラフに接触して電力を供給する「トロリ線」ではなく、変電所に直接つながっている「き電線」であると推察される。
直前の大雨が引き金に?
事故の起きた順番だが、いきなり2つの碍子を連結していた金属部品が「腐食断裂」したのではなく、碍子に問題が起きて絶縁抵抗が低下して「アーク放電」などが発生、全体が高温となって断裂した可能性を想定するのが妥当だろう。
その原因としては、3月14日から15日早朝にかけて東日本全域で降っていた雨が引き金を引いたと見ることができる。碍子が健全であれば、降雨による短絡は起きない。だが、雨が原因となって短絡が起きたということであれば、碍子にヒビが入っていた可能性がある。一方で、金属部品の腐食が進んでいたということは、碍子に錆びた鉄粉が付着していた可能性も高い。つまり碍子のヒビ割れという可能性と、汚損という2つの可能性を考えなくてはならない。
今回の事故原因となった碍子と同じような箇所というのは、仮に今回の事故が「き電線」で起きたとしたら、電化柱の数だけあるわけで、8万箇所という発表はあながち誇張ではないと思われる。
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