金正日の遺言 井野誠一著

金正日の遺言 井野誠一著

後継者問題が改めて注目されている北朝鮮の金正日総書記。本書は金正日ファミリーの人間模様、政治実態を丹念に追ったインサイドストーリーだ。

本書では、金総書記は「遺言」を作成しつつあり、後継者の名もすでに記したとする。三男の正雲に内定との報道もあるが、本書では断定を避け、長男・正男が「本家の長男」として担ってきた役割にも目配りする。第一候補に何か不都合があれば、金総書記はためらわずに遺言を書き直す、判断基準は何よりも金ファミリー支配体制の維持だ、というのが著者の結論。同時並行で事態が動き、情報も錯綜する中、やや歯切れが悪い面があるのはやむをえないだろう。

とはいえ、核開発と対話という硬軟両カードを使い分ける北朝鮮外交の根底にあるのも、まさに金ファミリー体制の維持。その「実体と“生理”」(本書まえがき)を知ることは、日本の外交、安全保障を考えるうえでも有益だろう。

朝日新聞出版 1470円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 買わない生活
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
世界の投資マネーが殺到<br>沸騰! 医療テックベンチャー

2020年に世界の医療関連ベンチャーの調達額は465億ドルと過去最高を記録。10年間で5倍に膨張し、米グーグルやアマゾン、アップル、さらには中国の巨大IT企業もこぞって進出中です。国内の有望スタートアップ21社も掲載した必読の最新ガイド。

東洋経済education×ICT