地球全体を幸福にする経済学 過密化する世界とグローバル・ゴール ジェフリー・サックス著/野中邦子訳~“行動する経済学者”による「新しい臨床経済学」


 同教授は「問題は、災厄を避けるために英雄的な奮闘が求められることではなく、むしろ現代では、ごくささやかな努力でさえ、世界の合意がなかなか得られないことである。途方もないことをしでかそうというわけではない。ただ、共通の善意があれば十分なのだ」と主張する。本書は多くのメッセージを含んでおり、同教授の地球問題に関する“マニフェスト”である。

取りあげられているテーマは広範で、各章で問題のポイントが豊富なデータを基に簡潔に整理されており、極めて有益である。その中で第五部の「地球規模の問題解決」はアメリカの役割を取り上げ、地球規模の問題を解決するにはアメリカの積極的な役割が不可欠であると主張。だが、アメリカは「冷戦後の世界とこの過密した地球が直面する真の課題について、まったく見通しをもっていない」と、外交の問題点を指摘している。多忙で読む時間が取れないのなら、この部を読むだけでも十分な刺激を受けるだろう。

早川書房 2415円 485ページ

Jeffrey D.Sachs
米国コロンビア大学地球研究所所長。南米、東欧の政府、世界銀行ほか国際機関のアドバイザー、発展途上国支援の国連ミレニアム・プロジェクトのディレクター。米国ハーバード大学で博士号取得後、29歳の若さで同大学経済学部教授。20年間同大学に所属。

Amazonで見る
楽天で見る

関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
市場縮小が止まらない<br>生き残りへもがく製紙業界

紙の国内市場は8年連続のマイナスが必至。ペーパーレス化、原料高で苦境に。三菱製紙は最大手・王子ホールディングスの傘下へ。国内はさながら撤退戦。活路は海外市場か?