『全脳思考』を書いた神田昌典氏(経営コンサルタント)に聞く
--旧来のモデルでは太刀打ちできないと。
思考モデルを新しい付加価値型に替える。いままでのコンサルタントがつくった戦略構築ツールといわれるものは、情報を整理・分析するのに必要なツールだった。そこから整理された情報を基にソリューションを見出すのは、それぞれのコンサルタントのブラックボックスのなかでやっていることだった。
だから情報を収集・整理するまでのプロセスを楽にするためのさまざまなフレームワークが開発されてきた。しかし、いままで誰もが考えたことのないソリューションを発想する、もしくは創造するフレームワークではない。それがないといつまでも苦境が続く。
--一世を風靡したロジカル・シンキングについても懐疑的です。
ロジカル・シンキングは世の中にとって致命的な問題になる。ある程度はいいが、それだけで社内の言語が決まってくるようではいけない。たとえば、多様性を妨げることになる。女性や障害者が職場にいることは必要であるにもかかわらず、その人たちの意見を取りまとめることができない。今までの体験を引き出すためのツールとして、また文章の構成や内容を考えるときにはいいツールだが、それも限界がある。
--時代環境が変わった……。
日本は1998年から2006年の間、いままでの硬直化した経済を破壊することが付加価値を生む時代だった。それもライブドア・ショック、村上ファンド・ショックで一巡し、破壊が終了した。07年からは新しい価値観を構築する方向に向かった。そうでないと付加価値が取れないので、急速に社会貢献企業などがブームになっている。
大きなサイクルで見ていくとだいたい日本は70年周期で回っている。次の節目は2015年ぐらいになる。そのときまでにいままでの硬直した価値観をいらないところは破壊し、新たな価値観をつくり上げることになる。