iPhone、10-12月期は初の前年比マイナスも 10年続いた成長神話は終焉へ

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 1月22日、米アップルのiPhone(アイフォーン)の売り上げが第1・四半期に、約10年前の販売開始以降初めて前年比で減少する見通しが強まっている。写真は「アイフォーン6Sプラス」。2015年9月撮影(2016年 ロイター/Robert Galbraith)

[台北 22日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>のiPhone(アイフォーン)の売り上げが第1・四半期に、約10年前の販売開始以降初めて前年比で減少する見通しが強まっている。アジアの主要サプライヤーが、同四半期の売上高と受注が減少すると予想していることが背景だ。

半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>や光学部品大手の大立光電(ラーガン・プレシジョン)<3008.TW>は悲観的な売上高予想を明らかにしており、スマートフォン(スマホ)の需要が世界的に鈍化する中でアップルの販売見通しにも懸念が強まった。

業界の幹部らは、アイフォーンの最新モデルである6Sと6Sプラスは顧客を引き付ける新機能を十分搭載していないとみている。そのため、アップルの技術革新やそこから生み出される利益の動向に対する不安が広がっている。

同社は売上高見通しに関するコメントを控えた。10―12月期決算は来週26日に発表の予定だ。

サプライヤーによると、アップルはこれまで3カ月単位で注文を出していたが、現在は1カ月単位でしか発注していないという。ラーガン・プレシジョンのアダム・リン最高経営責任者(CEO)は会見で「現時点では1カ月先までしか見通せない。需要はかなり弱い」と説明。他のサプライヤーの幹部は「生産能力の点では非常にフレキシブルな対応を迫られている」と述べた。

アップルは以前、各サプライチェーンへの発注状況は販売見通しを正確に反映したものではないと説明していた。だがTSMCは今月、第1・四半期の売上高は前年比で最大11%減少するとの予想を公表。ハイエンドのスマホの需要が不調だとも説明した。トムソン・ロイターのデータによると、11%の減収は約7年ぶりの大きさだ。

来週には韓国のLGディスプレー<034220.KS>、韓国の半導体大手SKハイニックス<000660.KS>やサムスン電子<005930.KS>などが2015年第4・四半期決算を発表する予定。この際に第1・四半期の見通しを明らかにすれば、アップルの見通しもより詳細に判明するかも知れない。

アナリストによると、アップルは通常、年後半に新製品を発表することからアイフォーンの販売もこの時期に上向く可能性があるという。ただ、サムスン電子や中国の華為技術(ファーウェイ)などの同業が競争力を高めており、サプライヤーの中には売上回復について懐疑的な向きもいる。

ある台湾のサプライヤーは「技術革新のスピードが落ちている。アップルは他のブランドと同じ方向に進んでいる」と述べた。

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