夫の趣味品を「勝手に断捨離」で離婚が成立? すべての持ち物が「共有」されるわけではない

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ただし、「誰が見てもゴミ!」といえる物を捨てた場合は「器物損壊罪」にあたるかは疑問です。そうでない場合でも夫からの告訴がないと処罰できません(刑法264条・親告罪)。

また仮に、夫が告訴しても、客観的に価値のない物であれば、通常はたいした処罰を受けることはないと考えられます。

夫は「損害賠償請求」することができる

ところで、刑事事件になるかどうかは別にして、夫は妻に対して損害賠償請求が可能です。この場合、捨てられた物の価値で判断は異なります。

本人だけが大事な物と思っている「がらくた同然」の物については、特別な場合を除き,主観的な価値は法的に保護されませんので、慰謝料の請求も難しいでしょう。

これに対し、捨てられた物が高額品である場合には、損害賠償請求も覚悟しなければならないと考えられます。ただ、高価な物を「がらくた同然」に放置していたとすれば、「過失相殺」により、損害額が大幅に減額されるかもしれません。

では、私物を捨てられた側が「断捨離」を理由に離婚を希望した場合、離婚事由として認められるのでしょうか。

裁判における離婚事由として、それだけで認められるとは考えにくいです。ただ、こういった点の積み重ねから「性格の不一致」等により「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認められる場合には、離婚原因の一つになると思われます。 

尾崎 博彦(おざき ひろひこ)弁護士
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員
事務所名:尾崎法律事務所

 

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