ダンロップ、米ゴルフメーカー買収の大誤算 「スリクソン」ブランドも通じず、初の赤字

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最終赤字が決定的になったことから、配当予想は、中間10円・期末10円の計20円見込みから、中間10円(実施済み)、期末無配の計10円へと、減額された。同社は「最終利益以上に配当はしない」という方針を貫いているためだ。

経営責任を明確化するため、木滑和生社長は月額報酬の50%、専務2人は30%、常務2人は10%を3カ月間減額することにした。

これらの手を打っても、なお、海外はしばらく厳しい状況が続きそうだ。ダンロップとしては、スリクソンに販促費を集中投下するため、来期も北米子会社の赤字は継続の見込みという。しかも、「どうカネをかけるかまで決めていない」(同社)と、莫大な宣伝費の使途がわからない。

「ゼクシオ9」は好調

明るい材料がないわけではない。2015年12月には、最上級ブランドのゼクシオで新モデルクラブ、「ゼクシオ9」が発売された。円安による仕入れ高の影響を受け、ゼクシオ8で8万円だったドライバーを、ゼクシオ9では8万8000円と1割の値上げに踏み切ったものの、「前モデルを上回る勢い」(同社)で推移し、出足は好調という。

ゴルフクラブの場合、新クラブの発表は通常、2年に1回。モデルチェンジして最初の1年は「表年」と呼ばれ、大きな売り上げが期待できる。日本や韓国で圧倒的なブランド力を持つ「ゼクシオ」の、新モデル初年度となるこれから1年間に、どれだけ北米ビジネス再建の道筋をつけられるかが、カギを握ってくるだろう。  

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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