「仲良しだけどセックスレス」夫婦に迫る危機 「女が終わる」と焦る妻

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田中医師が間に入り、お互いの気持ちを口にしてもらう。夫は「そんなふうに考えていたのか」となり、妻の気持ちを理解しようと努める。それによって、妻も夫の気持ちに応えようとする。

それが理想の診察だ。「さらに、相手が嫌がらない範囲内で体に触れるタッチングをすることを勧めます」手をつなぐ。マッサージをする。一緒に風呂に入る。お互い裸で抱き合う。これらによって壊れかけていた関係を修復できる夫婦がいる。

温泉旅行でムード演出

子どもが結婚したら、私は離婚するかもしれない――製薬会社勤務の敬子さん(50、仮名)の頭には、常にその一文があった。結婚して23年の夫(51)との会話は、いつの頃からか「会議室で話をしているような無味乾燥な感じ」になっていた。大学生と高校生の娘2人が結婚して家を出ていき夫婦2人になったら、何を話せばいいのか、わからない。

「仕事の知人は多いけど、本当に親しい友人はいない。私には夫しかいない」

 2人の関係に潤いを取り戻そう。そのためには、まずはセックスレス解消しかない。それまでは年に1、2回。夫が触れてきても、疲れているからと断ることが多かった。

「非日常を演出するために、夫の誕生日に、夫婦2人の旅行に誘ったんです」

貸し切り風呂がある温泉旅館を選び、久しぶりに2人でゆっくり湯につかった。日本酒を少し飲んでいたこともあり、自然とそういう流れになった。それからは、月1回はセックスをしている。休みの日、安い値段のホテルに行くこともある。心なしか「夫婦の会話」を交わせるようになり、娘たちが巣立っても大丈夫と思えるようになってきた。

男女問題を多数取材している官能小説家の加藤文果(ふみか)さんは、こう話す。

「老後に向けて夫婦単位の暮らしに移行しようという時、住環境や経済的な課題は共有できても、夫婦でしっかり向き合えていない場合も多いように感じます。場合によっては、暮らしの質を高めるために、パートナーに秘密の関係を持つこともあってもいいかもしれない。でも、もし夫婦でもう一度やり直せるなら、それはそれで素晴らしいことです」

あなたはどうだろう。

(文:ライター・羽根田真智)

AERA 2015年12月7日号
 

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