「Qデー」間近、ネットで安全に情報送れる「暗号化」が解読される日が近い"データを今盗んで、後で解読する"攻撃は今も起きている…早めに対策を

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結論から言えば、Qデーの現段階での予想は2035年が目安とされている。しかし、あくまで目安であり、Qデーは量子コンピューターの技術革新に依存するため、正確な予想を行うことは難しい。

いずれ訪れるQデーへの対抗策が、ポスト量子暗号(以下、PQC)への移行である。現在、主流のAESやRSAは暗号解読可能な量子コンピューターによる復号化アルゴリズムが発見されているため、Qデーの到来とともに復号化されるリスクがある。特にRSAは復号化されるリスクが高いとされている。

そして、Qデーが到来しても暗号解読可能な量子コンピューターによる復号化アルゴリズムが発見されておらず、復号化されることのない暗号技術がPQCである。

2035年までに移行すればよいとなると随分先の話のように感じるかもしれないが、社会全体が暗号技術を次世代のものへ移行するには、過去の経緯から約10年ほど必要になると試算されている。すでに2026年であり、残された猶予期間はそれほどないというのが実情だ。

主要国における対応計画

PQCへの移行は、安全保障の観点からも重要であり、世界の主要国がロードマップを策定し、Qデーへの備えを進めている。

・アメリカ
ホワイトハウスは、2035年までに暗号解読可能な量子コンピューターによるセキュリティ上のリスクを軽減する方針を指示。国家安全保障局(NSA)も、2035年までに国家安全保障システム(NSS)へのPQC実装を義務付けている。ソフトウェアおよびファームウェアに対する署名は2030年までの移行を指示している。

・EU
2035年までに加盟国全体でPQC移行を可能な限り完了する方針。10年以上の長期にわたってデータの機密性を保護する必要がある場合、あるいは暗号が打破された際の影響が極めて重大な用途については、2030年12月31日までにPQCへの移行を完了させるべきであると推奨されている。

・英国とカナダ
段階的な移行を掲げ、優先度の高いシステムを2031年までに、それ以外を2035年までに完了する計画を提示している。

・日本
内閣官房 国家サイバー統括室は、2026年度にPQC移行ロードマップを策定する計画であり、2035年までに移行完了することを目指す方針。金融庁は「預金取扱金融機関の耐量子計算機暗号への対応に関する検討会」において、金融機関を中心にPQCへの移行に関する議論が進められている。

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