「草の根」に分け入り現実をとらえよ--『あなたの中のリーダーへ』を書いた西水美恵子氏(ソフィアバンク・パートナー、元世界銀行副総裁)に聞く

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

──世銀は地域診療所、IMF(国際通貨基金)は外科医院とあります。

今のギリシャはいい例だ。手遅れで、救急車を呼んだ。ギリシャは、EU(欧州連合)プラスIMFで外科手術は一応できる。しかし、再発しない手術をしようとすれば、ギリシャ経済の本質をとことん構造的に変えなければいけない。汚職や闇経済がはびこり、ギリシャ経済の半分は数字ではわからない。人々は大抵が表と裏との二つの仕事を持ち、裏では税金を払わない。税制改造に踏み込むような構造改革は、金融的にいえば10年据え置きの40年物を扱う、息の長い関係を保てる世銀のような「診療所」が、外科医と一緒になって面倒を見ないといけない。ギリシャは発展途上国ではない。先進国がこういう状態になると怖い。

──パワースピーチやチームプレーの極意も書かれています。

私は、プレゼンテーションでパワーポイントを使う人を信用していない。結局ごまかしている。本当にメッセージをわかってほしいなら、パワーポイントは邪魔になる。言葉にしても、コミュニケーションのツールとして不完全なもの。その不完全な言葉を使って、自分が考えていることを時間内にわかってもらうには、心を通じる努力をしなければならない。言葉にハートを載せる。言葉には魂があるのだと信じて語りかけなければならない。

ぜいたくをいえば、目をつぶって私の話を聞いてほしいぐらいだ。私は人の言っていることをしっかり聴きたいときには目をつぶる。普通の人の視覚は聴覚よりも優位にあり、ごまかしが利く。あえてスライドとして使いたいのは写真だ。写真はまさに「百聞は一見にしかず」だからだ。記憶にも残りやすい。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事