東芝、「身内に大甘」3億円賠償請求の疑問点 対象者と金額をどうやって決めたのか

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パソコン事業などで利益カサ上げを促した3社長に、暴走を止められずに荷担した2人のCFO。報告書では5人の任務懈怠(けたい)が非難された。こうした行為は「執行役や取締役として善管注意義務違反があった」と指摘された。

だが一見、責任を明確化したように映る報告書も、内実は“大甘”だ。株主に背中を押されて提訴したうえ、対象者も金額も追及不足である。

まず何より、不適切会計がされた時期に副社長や会長を務めた、室町正志社長の名が報告書の中に挙がっていない。委員会が現社長にバツをつけることを遠慮したと勘繰られても仕方ないだろう。

実際、2009年3月期から2014年12月期までに東芝がカサ上げした金額は、税引前利益で累計2248億円に及んだ。これとは別に、過年度決算修正のために業務を委託した公認会計士などに対する報酬や上場契約違約金だけで、10億円超の実費がかかっている。3億円という請求額はあまりにも少ない。

会社は「回収可能性も勘案した」

役員の責任追及を求めた株主の代理人を務める、「株主の権利弁護団」の金啓彦弁護士は、「提訴をしない会社もある中で、東芝の現経営陣が訴訟を提起したことは評価したい」と、とりあえずの見解を示した。3億円という額に言及は避けたが、当初は「10億円で算定していた」(同)という。

これらについて東芝は、「回収可能性等も勘案した額の賠償を求めることが相当」、との説明にとどまった。

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