開智所沢「志願者日本一」報道のミスリードはなぜ生まれたのか——。"合同併願制度"を徹底検証する
話をもとに戻す。2025年1月6日に埼玉県がとりまとめた数字として、一部メディアは開智所沢ののべ志願者数を1万5175人と報じた。同じく栄東は1万2757人だった。さて、ここからが答え合わせ。
2025年の入試後に開智所沢が塾関係者に配付した資料によると、「開智学園合同併願制度」で合否判定を「開智所沢のみ」または「開智所沢第一」と選択した受験者の割合は合計で68.5%。
これに、最終的に学校が発表したのべ志願者数の1万6486人を乗じると1万1293人になる。さらに学校発表の実志願者数5332人と実受験者数5131人を乗じると、「開智所沢のみ」または「開智所沢第一」と選択した実志願者数は3650人程度、実受験者数は3510人程度と推計される。
そこで実際の数字を開智所沢に問い合わせた。「イベントにお越しになった方にお渡ししている入試分析データから推測可能な数字ですので、大雑把な数値として公表していただいて差し支えありません」というコメントとともに、「開智所沢のみ」と「開智所沢第一」のそれぞれを選択した実志願者数を実数で開示してくれた。その合計は、私の推計よりもざっくりと200人近く少ない数字であった。
メディア各社は数字の背景を理解してから報道を
合否判定には影響しないはずなのにわざわざ「開智所沢のみ」や「開智所沢第一」のような選択肢を設けている意図も尋ねた。回答は下記の通り。
「本校は合同併願入試ですが、2校は独立した学校ですから、『出願時に2校を併願することを、受験生に強制するようなシステムは好ましくない』という学園の判断によるものです。
併願は受験生、保護者にとってメリットの大きいものであると確信しておりますが、あくまでも本人の意志に基づき決定されるものであると考えております。したがって、出願の際に開智所沢のみに出願する、もしくは開智中のみに出願するといった選択肢を残しておくことで、2校の独立性を担保することができると考えています」
なお2026年入試の募集要項では、追加合格判定においてのみ、「開智所沢のみ」または「開智所沢第一」を選択した者が優先される旨が追記されている。
一方、栄東の最終的なのべ志願者数は1万4435人だった。実志願者数と実受験者数は、1月10日の「A日程(東大)」だけでも5179人と4969人だった。
2025年の中学入試志願者日本一が実質的にどの学校だったのか? 結論は読者に委ねたい。
大切なのは、中学受験で学校を選ぶ際には、数字の裏側にある制度やしくみにも目を向けてほしいということだ。そこは大人の役割だ。さらにいえば、メディア各社は、学校や塾が発表する数字の意味をしっかり吟味してから報じてほしい。
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