開智所沢「志願者日本一」報道のミスリードはなぜ生まれたのか——。"合同併願制度"を徹底検証する

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開智一貫部に志願した併願希望受験生の数は、開智所沢にもダブルカウントされる。その逆もしかり。開智一貫部の志願者が、開智所沢開校前夜の2023年から開智所沢初年度の2024年にかけて激増している背景にはこの併願制度の導入がある。

たとえば全国に20校以上ある日本大学の付属中学が同じことをしたら、各校の志願者数は驚異的な数字になるはずだ。

おかげで埼玉県の各私立中学志願者数を合計した統計値はバグを生じた。開智グループでダブル・トリプルに志願者がカウントされているぶん、のべ受験者数が激増していることになってしまったのだ(図3)。

埼玉県私立中学受験者数の推移
埼玉県私立中学受験者数の推移(画像:首都圏模試センター提供)

少数精鋭のコース制は「バブル偏差値」の温床に

志願者数が多かろうが、日本一だろうが、学校の良し悪しには関係がない。ましてやサブスク入試がこれだけ一般化してしまった現在の中学入試においては、入試回数を増やすほどにのべ志願者も増えるのは当然で、各校が発表するのべ志願者数にもはやほとんど意味はない。

しかし大手メディアで「日本一」と報じられる宣伝効果は絶大だ。行列ができているラーメン店にさらにひとが集まるように、中学受験においても、人気があるように見える学校にさらに人気が集まる傾向がある。

似たようなことをやりすぎて騒動に至ったのが、2023年の芝国際(東京都港区)初年度入試だ。一律の受験料で何度でも受験する権利が得られるサブスク入試を導入することで総志願者数を大きく見せ、「Ⅱ類」「I類」などのコース制導入のみならず50種類もの入試枠を用意することでいわゆる「バブル偏差値」をつくり出した。

このとき芝国際の開校準備室長だった人物が、現在は開智所沢校長に就いている。都市大付属(旧武蔵工業大付属)、広尾学園小石川(旧村田女子)、芝国際(旧東京女子学園)と渡り歩いた経歴をもつ。

開智所沢でもコース制が導入されている。上位枠の「特待コース(2026年は特進コースに名称変更)」と一般枠的な「本科コース」を分けた。これは都市大付属や芝国際の「Ⅱ類」「Ⅰ類」と同じだ。

これらのコース制には、学力上位層のみに合格を出して「学校偏差値」を高く見せる効果がある。都市大付属は2013年入試で「Ⅱ類」「Ⅰ類」を導入して学校偏差値が跳ね上がり、躍進校としてメディアの注目を浴びた。

ただし、芝国際はコース制をやめた。都市大付属も2026年入試からコース制廃止をすでに決定している。

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