新興EVメーカーはエンジン車の開発・生産の経験がないため、限られた経営資源をBEVに集中するのが事業戦略の定石だ。そんななか、理想汽車はあえてレンジエクステンダー型EVに特化する独自路線を選択。19年に発売した第1号モデル「理想One」のヒットにより、中国の新興EVメーカー群のフロントランナーに躍り出た。
ところが、理想汽車の成功を見た競合他社は数年遅れで続々と追随した。例えば、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中堅自動車メーカーの賽力斯集団(セレス)の協業ブランドである「問界(AITO)」は、理想汽車のレンジエクステンダー型EV「Lシリーズ」と直接競合する製品ラインナップを組んでいる。
それだけではない。理想汽車はブランド価値を維持するため価格競争と一定の距離を置く戦略をとったが、一部のライバルはそれを好機と見て、コストパフォーマンスの高さを強調して販売を伸ばした。「半額の理想汽車」と呼ばれる零跑汽車(リープモーター)は、その典型だ。
BEVの発売延期が裏目に
こうした競合他社の猛攻を受け、理想汽車のLシリーズの販売は大きく落ち込んでいる。それが7~9月期の赤字転落の一因なのは間違いない。
(訳注:レンジエクステンダー型EVの販売失速の背景には、車載電池のコスト低下によりBEVの価格が下がり、相対的な割安感が薄れた影響もあるとみられる)




















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