人気急上昇､鉄道YouTuber｢しおねる｣とは何者？　女優の夢あきらめ､ネットの世界に転身して大成功

転機となったのは、最初のきっかけを与えてくれた職場の仲間との雑談だった。「せっかく見てくれる人がいるならもっと頑張ってみたら」という一言が、しおねるさんの心に響き、再び動画投稿に向き合うきっかけとなった。仕事の前後や休日に撮影や編集を重ねるうちに、登録者数や再生数は着実に増えていき、視聴者から寄せられるコメントも励みとなった。自然と「次の旅に出て動画を撮ろう」という意欲が湧き上がり、やがて視聴者に届けるという意味でも「もっといろいろな路線や電車に乗りたい」という好奇心が強くなっていった。半年ほど悩んだ末、リスクを承知でユーチューバーとして生きていく決心をした。彼女の原動力は「見てくれる人がいる」ということなのだろう。

動画編集の様子（写真：しおねる）

日常生活に溶け込んでいた鉄道

しおねるさんが鉄道に強い関心を抱くようになったのは比較的最近のことだが、鉄道との関わりはいつ頃からなのだろう。幼少期には鉄道好きの祖父に連れられて歩道橋から電車を眺めていた記憶がある。鉄道自体に特別な思いを抱いていたわけではないが、大阪の祖父母の家へ行くときに乗った阪急電車のマルーン色の車両やホームの雰囲気、ふかふかな座席など、東京の電車にはないところには心惹かれたという。

高校時代には片道1時間の電車通学が始まった。「大変」と感じる人も少なくない電車通学も、彼女にとってはまったく苦ではなかった。休日に目的もなく定期券の範囲内で電車に乗ることもあり、「電車に揺られながらスマホを見たり、本を読んだり、時には眠ったりするのが楽しかった」と振り返る。鉄道は彼女にとって、日常に溶け込みつつも心地よい空間として存在していた。