「蓬生(よもぎふ)日記」明治二十四年九月二十二日/『全集 樋口一葉 3 日記編』小学館
これは樋口一葉の19歳のときの日記の一節だ。意味は「女性の進むべき道を進もうとしても難しく、かといって男性の進む道を進むことも無理だ」ということ。もう少し具体的に言うと、男性と結婚して専業主婦になることも難しいし、男性のように学歴を得て社会の中で活躍することもできないという意味だ。
17歳にして戸主となる
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どうしてこういう葛藤を抱えたかというと、お父さんが事業に失敗して、借金をつくって亡くなったからだ。お父さんは亡くなる前に、自分が面倒を見てきた若い男性に、一葉と結婚の約束をさせていたが、その男も逃げてしまった。一葉は17歳にして戸主となり、残された母親と妹を養っていかなければならなくなる。針仕事や洗濯などをして働くが、たいした収入にはならない。
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