「学力低下」の原因はスマホでもコロナ禍でもない?法学者も指摘「小学校での探究やグループワークの増加」が問題か

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こういった探究学習やグループワークの拡大に対して都立大学法学部教授で『憲法の学校 親権、校則、いじめ、PTA――「子どものため」を考える』の著者の木村草太さんは言う。

「探究学習やグループワークは効率がよいとはいえないので、そちらで時間が取られ、計算ドリルをやったり、語彙を覚えたりという習ったことの反復学習をする時間が捻出できなくなってしまっています」

グループワークは効率がよくない。例えば、講義式の授業の場合、教師が効率的に知識を伝えていく。一方で、グループワークの場合、生徒が自由に発言をするので、それで時間が割かれ、正しい情報の伝達の効率が悪くなる。児童が的外れなことをいい、それが「なぜ間違っているか」を教師が説明していたら、それだけでも時間が消費されていく。

先に紹介した「時間ってなあに?考えてみよう」といった授業を優先的にやることで、時間の計算という生きていくために大切な知識や技術を教えられないことになっているのだ。

Xで「ゆとりを探究に置き換えただけだな」という投稿を見たが的外れな意見ではないのかもしれない。

スピーディーに授業を進める必要があり復習できない

一方で地域や小学校による差があるようだ。大阪市立小学校教諭で『先生を続けるための「演じる」仕事術』(かもがわ出版)の著者、松下隼司さんに学力低下について質問を投げかけるとこう返ってきた。「調査で全国的な学力低下の傾向が見られても、自校では低下は感じません」。

その理由を聞いていくと「基礎知識もしっかりと授業で教え、その定着のために必要な宿題を課しています」という理由があるのがわかる。ようはちゃんと基礎学力が身につくような指導をしているのだ。ただ、こうも話す。

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