「女子大の間にも格差」募集停止が続く中で"昭和女子大と共立女子大"が危機ではない理由、共学化はしない?入試担当が明かす本音と実際
松田:ありがとうございます。就職活動を始めようとしない学生には教職員が声をかけるなどして頑張っていますからね。ただ、売り手市場ですから、就職のよさだけでは学生にピーアールできなくなっています。
杉浦:それは共学でも同じですよね。難関私大はどこも「昔は国立大学に合格しても就職がいいという理由でうちに来てくれたけれど、今は学費が安いという理由で国立大学に流れてしまう」という悩みを持っています。
松田:やはり大学はどこも大変で悩みは実は共通ということですね。うちも就職のよさ以外もアピールするために、ボストンキャンパスに提携校の生徒たちを連れて行くプログラムも実施しています。空港で迷子にならないようにおそろいのTシャツを作って着てもらっています。
渡辺:そういった大学の中身を高校生にアピールしていくことに関して、女子大には外部来校者に対してのセキュリティ面という課題もあります。学生の安全を担保しながら高校生のみならず社会全体に女子大をオープンにしていく工夫が必要です。
松田:多様化も重要だと思っています。留学生の数も現状はごく少数なので増やしていきたいと思っています。でも、そうすると、「女子大は学生が集まらないから留学生を増やそうとしている」と言われそうですね(笑)。
杉浦:何をやっても”女子大は苦しいから”って言われてしまうんですね。

指定校推薦で女子大に来る学生は…
杉浦:今や大学進学者の半分が推薦入試、女子に関しては6割が年内入試で進学先を決めていきます。提携校からは指定校推薦で入学する学生も多いでしょう。一方で共学の大学ですと、指定校推薦の入学者が退学をするケースも増えていると報じられています。
松田:昭和女子大に関してはすべての入試方法の中で指定校推薦の学生は、ほかの入試方法で入学した学生と変わらず十分な学力を備えています。
渡辺:共立女子でも指定校推薦組で退学はあまり見ないケースです。
松田:思うに女子大へ指定校推薦で入学してくる学生はモチベーションが高いんでしょうね。女子大は少数制で面倒見がいい反面、授業の出席やレポート提出など厳しいので、あえて女子大を選ぶような学生は「大学でちゃんと勉強したい」という意識なんでしょう。
杉浦:週刊誌の女子大の危機特集では“一般選抜率が高い分には救いがある”とありましたが、それはちょっと事実と違いましょう。指定校推薦で学力やモチベーションが高い学生が入学してくることは、それだけ大学にブランド力がある証拠です。ブランド力がないと指定校推薦で学生は集まりません。
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