――東大合格者の割合はどうでしょう。他の都道府県と比べても少ないのでしょうか。
山崎さん:人口900万人を抱える神奈川県と比べてみると、その差が非常によく理解できると思います。人口500万人の北海道ですが、高校数は神奈川が約227校、北海道が約272校と、実は大きくは変わりません。しかし、2025年東大合格者数で見ると、神奈川392人、北海道56人となっています。神奈川県の公立高校のトップは横浜翠嵐高校ですが、この高校の東大合格者数が74人、一校で北海道全体を遥かに超える人数です。一方で、北海道の公立高校のトップは札幌南高校ですが、ここの東大合格者数は18人。この差は、単なる人口差では説明できないほどの開きです。
――それは本当に大きな開きですね。さまざまな要因があると思いますが、自分の推論としては、「本州の大学ではなく、大学進学でも道内に留まりたい」という思考が強いのかなと思っているのですが、どうでしょうか。
山崎さん:本当にそうだと思います。特に親世代の、子どもの進路選択における道内志向は非常に強固です。例えば、高校の全国模試で偏差値55~65、東京の私立大学で言えばGMARCHに合格できるほどの学力を持っている生徒が、「自分は親から北海道内/札幌市内の大学に行ってほしいと言われているので」と言って、道内1位の私立大学である北海学園大学に行くということがままあります。大手予備校はこの大学の偏差値を(学部にもよりますが)約40~45程度と発表しています。
なぜ「もったいない」選択をするのか
――偏差値で言えば、10以上も低いですね……。大学を差別する意図はありませんが、正直、都会の価値観で言えば「なんてもったいない」と思ってしまいますね。
山崎さん:これと同じことは、北大志望の生徒に対しても言えます。進学先を道内に限定している生徒の場合、北大を第一志望、第二志望は小樽商科大学や室蘭工業大学になります。小樽商科大学は大手予備校によれば偏差値約50と発表しており、室蘭工業大学は偏差値約35と発表しています。
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