今回は、その現場で長年にわたり学習塾として教育を支えてきた、北海道内で最大規模の生徒数を誇る練成会グループの副社長・山崎敏史さんに話を伺いました。

山崎さんは北海道・帯広市のご出身。道内各地で学習支援の現場を見続けてきた人物でもあります。
今回のインタビューでは、北海道の教育が直面する構造的な課題、そして「教育の地域格差」がなぜこれほどまでに広がってしまったのか、その根底を語っていただきました。
北大の道内出身者は3割以下
――山崎さん、本日はよろしくお願いします。
山崎さん:よろしくお願いします。
――まず、現状の数字から一緒に見ていければと思います。2008年には北大入学者のうち道内出身者が53%を占めていたのが、2025年には29.6%まで下がったという統計があります。人数で言えば、約500~600人の減少となっていますね。
山崎さん:そうなんです。私も北大出身ですが、私の頃(注:約40年前)は、北大の学生の6割が道内出身でした。それがいまは3割を切る。まさに「地元の大学」ではなくなってしまっているんです。しかも後期試験にいたっては、ほとんどが関東圏の高校出身者で、道内の学生は約11%、学部によっては一桁台しか道内出身合格者がいない程度になってしまっています。東京や関東の生徒たちが、東大・京大に届かなかった“第2志望”として北大を受ける構図が出来上がってしまっていると言えるでしょう。
――つまり、北海道の高校生が北大受験で勝てなくなっているということですね。確かに、自分も仕事柄関東圏の名門中高一貫校にお邪魔することがありますが、東大・京大に惜しくも届かなかった学生が浪人することなく北大に進学する流れを良く見ています。北大自体の偏差値は下がっていないですよね。
山崎さん:下がっていませんね。ただ、その内訳はこの10年で大きく変化しているという現状があります。
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