留学費用「年間300万円は必要」とは限らない!円安・物価高で行き先を変える留学生も…経済的に厳しい状況でも留学を実現する工夫とは?

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渡航前のワクチン接種だけで5万円以上かかるといった思わぬ出費があったものの、現地での観光は控えたことで、留学準備金25万円と月12万円の奨学金で留学費用をほぼ賄えた。留学中は大学を1年間休学、日本学生支援機構の奨学金も1年間休止したことで、学費の負担増も避けることができた。

小林汐樹さん
小林汐樹(こばやし・しおな)/山形大学 人文社会科学部 人文社会科学科 グローバルスタディーズコース4年生。2023年に「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム(大学生等対象)」の15期生としてマラウイ共和国とルワンダ共和国に留学。現地のローカルNGOに所属して幼稚園や小学校でのボランティアを行うとともに、国際NGOでのインターン活動も経験(写真:小林汐樹さん提供)

現地では、自力で探して受け入れ交渉をしたローカルNGOにて、幼稚園や小学校の子どもたちに色や形、アルファベットなどを教えるボランティアのほか、国際NGOのインターンを務めた。これらの活動は充実していたものの、「日本とは異なる環境での生活は決して楽ではなかった」と小林さんは語る。

「電気や水が十分でない環境、言葉の壁、そして町を歩くだけで心ない言葉を掛けられるといった差別も経験しました。精神的に強くなり、『どんな環境でもチャレンジしていける』と自信が持てたことが最大の収穫だったと思います」(小林さん)

また、アフリカでの教育ボランティアの経験は、教職課程を履修していた小林さんのキャリア観にも大きな変化をもたらした。

小林さんと現地生徒
教育ボランティアの経験は小林さんのキャリア観を変えた(写真:小林汐樹さん提供)

「教えるとは単に答えを教えることではなく、子どもたちが言おうとしていることを理解し、それに適切に対応することが大切なのだと気づきました。ただ、今の自分ではまだ力が不足していると痛感し、大学卒業後はさまざまな経験を積んでから教育に携わりたいと考えるようになりました。卒業後は国際協力にも関われる企業に勤める予定です」(小林さん)

トビタテでは全員参加必須の事前・事後研修があり、同期メンバーの結束は固いという。小林さんは「留学中もSNSでトビタテの同期生がそれぞれの場所で頑張っている様子を見て励まされました。一人だったら心が折れていたかもしれない」と話す。

トレンドは北米よりもヨーロッパやアジア

近年の留学動向について、西川さんは「現在は円安や物価高が常態化し、その状況を前提に留学先の国・地域を選んだり、学費や生活費を抑える工夫をしたりする学生が増えている印象です」と語る。

「留学先として、以前は北米が人気でしたが、近年は学費を抑えられるヨーロッパへの留学が増えています。ドイツの国立大学は学費が無料で、イタリアでも年間30万円程度、ベルギーやオランダの大学も年間120万円程度です。

マレーシアなど、生活費が日本より安いアジアの国も人気です。例えば、モナシュ大学マレーシア校は、日本の私立大学と同程度の費用で留学できます。これらの国では英語で全科目を学べる大学が多いため、現地語が話せなくても大学での学習に支障はありません」(西川さん)

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