留学費用「年間300万円は必要」とは限らない!円安・物価高で行き先を変える留学生も…経済的に厳しい状況でも留学を実現する工夫とは?
経済的な余裕がなかったため、「留学」「全額支給」というキーワードでインターネット検索をして、トビタテに辿り着いた。「締切まで1週間という状況でしたが、指導教員の助言も得ながら、ほぼ缶詰状態で応募書類を完成させました。トビタテに合格していなければ、留学はできませんでした」と柴田さんは振り返る。

留学中は、支給された留学準備金25万円、授業料30万円、月16万円の奨学金で何とか生活をやりくりした。食費を削ろうと学生寮の食堂を利用し、片道300円の地下鉄代を節約するため冬でもマイナス10度の中を45分かけて歩いたこともあったという。
そうした生活が続いたが、この留学で得たものは大きかった。
「留学先では海外の研究者とのコネクションを作れたほか、日本では考えられないような学会での発表機会を得るなど、研究者としてのキャリアの基盤を築くことができました。現在は大学で教員をしていますが、この留学がなければ今の自分の生活や研究はなかったと思います」(柴田さん)

また、トビタテでは、歴代のトビタテ派遣留学生(以下、トビタテ生)のコミュニティー形成も支援しているが、柴田さんもその恩恵を受けているという。勤務する大学のメタバース空間の立ち上げにあたり、トビタテ生のFacebook上のコミュニティーを通じて協力者と出会うことができたそうだ。
母子家庭で経済的余裕がない中、留学を実現
山形大学に在籍する小林汐樹さんも、トビタテの支援を受け、大学3年生の2023年9月から1年間、アフリカのマラウイ共和国とルワンダ共和国に留学した。アフリカを選択したのは、教育や途上国支援への興味に加え、「まったく知らない世界に飛び込みたい」との思いがあったからだという。
当初は大学の交換留学制度を検討していたが、安全上の理由からアフリカは対象外だったため、アフリカに留学できる奨学金制度をインターネットで探して見つけたのがトビタテだった。
母子家庭で育ち、学費の支払いにあたっても日本学生支援機構の給付型奨学金を受給していた小林さんは「金銭的な理由から、留学を実現できるのか悩んでいた」そうで、トビタテの採用が唯一の希望だったという。
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