留学費用「年間300万円は必要」とは限らない!円安・物価高で行き先を変える留学生も…経済的に厳しい状況でも留学を実現する工夫とは?
2024年度からは近年の円安や物価高騰を受け、留学準備金を増額。アジア地域への留学は21万円(6万円の増額)、それ以外の地域への留学は35万円(10万円の増額)を支給している。
また、アジアやアフリカなどでは月12万円、北米やヨーロッパなどでは月16万円(条件に定める家計基準外の場合はいずれも月6万円)の用途不問の奨学金を支給し、専門分野の学修を行う大学生等には30万円の授業料も別途支給している。
「支給総額は短期留学なら50万円、長期留学なら200万円程度。高校生に関しては採用者の46.5%が公立高校の在籍で、留学フェアでも親子の奨学金に対する関心は高く、『この奨学金がなければ留学できない』というご家庭も多くあると感じています」(西川さん)
「留学がなければ今の生活や研究はなかった」
手厚い支援が人気を呼び、例年のトビタテの倍率は3倍前後。2025年度の採用倍率は、高校生が約2.6倍、大学生が約4.5倍となった。文科省主導ということもあり、成績優秀者を選抜するイメージを持つ人もいるかもしれないが、実は学業成績や英語力は不問だ。
「選考は書面と面接となりますが、選考基準としては、『情熱』『好奇心』『独自性』の3点を重視し、その人がなぜ留学したいのか、そのためにどんな努力をしてきたのかといった人物面を評価しています。英語がほとんど話せない子、不登校を経験した子など、さまざまなバックグラウンドを持つ生徒・学生が採用されています」(西川さん)
また、この制度の特徴の1つは、留学プランを自由に設計できること。教育機関での学びに限らず、インターンシップやボランティア、研究活動も対象となる。
ただし、応募者自身が受け入れ機関を見つけ、具体的な活動計画を立てなければならない。「受け入れ先との交渉では、メールを送っても返信がないのはよくあること。そのような困難を乗り越えた経験こそが自信につながっていく」と西川さんは話す。
現在、阪南大学の教員を務める柴田正義さんは、名古屋大学大学院法学研究科の修士課程2年だった2017年9月から2018年7月まで、トビタテを利用してモスクワ大学に留学した。専攻するロシアの法制度に関する研究は日本国内では先行研究がほとんどなく、「現地で情報を収集し、ロシア社会と直接関わる必要性を感じていたからだ」という。
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