
「市場の番人」――。日夜株式市場を監視し、相場操縦やインサイダー取引などの不公正な取引を調査する証券取引等監視委員会(監視委)は、畏怖を込めてそう呼ばれている。ひとたび不公正な取引を発見すれば、金融庁に対して課徴金の納付命令の勧告や、検察に刑事告発を行うこともある。
投資家を守り、市場機能の健全化を促すという目的のため、その絶大な権力を適切に行使しているか、監視委はその真価を常に問われる立場でもある。そんな市場の番人が今回踏み切ったのは、どのような案件か。
※本記事は2025年7月18日に「会社四季報オンライン」でも有料会員向けに配信しています
監視委が提案する新ルール
市場の公平性を歪めるインサイダー取引や、上場企業の情報開示における虚偽や粉飾。証券取引等監視委員会が摘発した者に課される「課徴金」は、こうした不正を抑止する効果が期待されている。
――が、課徴金に関するルールについては以前から、実際に行われている不正の実態とズレがあり、抑止力が不十分ではないかと問題視する向きがある。
前回の記事(「自社のTOBを話しただけで課徴金!あるプライム社員の悲劇」)では、知人から得たTOB情報を基に取引した女が受けた課徴金は「たった6万円」という事例を取り上げた。まさに課徴金の額が低すぎて、不届き者が結果的に「得」をしてしまっている代表例ともいえる。
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