信頼失墜「会員100万人減」、相次ぐ退会で揺れる日本PTA全国協議会の迷走…その傍らで新たに生まれた全国組織とネットワークの存在意義
「当会では、1年間にわたる特別委員会での議論を経て、退会へのプロセスを慎重に進めました。県内のPTA組織に対して『自分たちの課題に真摯に向き合い、主体的に意思決定を行う』ことの大切さを示すことができたのではないかと思います」
市区町村郡のP連が、都道府県P連と日Pから退会するケースも増加傾向にある。その一例が大阪府の堺市PTA協議会(加入世帯数:4万8047)だ。
同協議会では、25年6月の総会で、25年度末をもって日Pと大阪府PTA協議会(以下、大阪府P連)から退会することが承認された。同協議会会長の梅田修造氏は、「昨年秋、日P問題が大きく報道され、市内の学校のPTAから心配の声が寄せられたことが議論のきっかけとなりました」と語る。
「不祥事の際、全国のP連から説明を求める声が上がる中、当時日P幹部だった大阪府P連会長から私たちへの説明はいっさいありませんでした。そもそも大阪府P連は、日Pの情報を地域のP連に伝える役割を担うはずが、以前からその機能を果たしていません。会長連絡会でも有益な情報交換はなく、単に集まるだけという状況が続いています。年間約160万円もの会費を払い続ける意味がないと判断し、退会を決めました」
来年度からは、会費の負担が軽くなる分を、各校PTAや市内の子ども向けのイベント運営などに還元していく予定だという。梅田氏は、日Pの存在意義にも疑問を投げかける。
「中教審の委員から外れたことで国に保護者の声が届きにくくなる懸念はありますが、そもそもなぜ会費を集める必要があるのかという根本的な疑問があります。会費を取らず、参加したい人が自由に情報交換できるような形にシフトすべきだと考えます」
元日P会長の解職劇、その後の沈黙
23年、日P会長を務めていた金田淳氏は、事務職員へのパワハラを理由に突如解職された。しかし、この解職は不当なものだった。
当時、日Pの不正支出を追及し、組織の刷新を図ろうとした金田氏の動きを快く思わない勢力――かつて要職を経験し、未だに役員人事に口を出すOB、自らの不正を隠蔽したい青羽被告、権力を手に入れたい当時の幹部らの利害が一致し、パワハラのでっち上げによって、金田氏は解職に追い込まれた。
この不当な解職に対し、「事実無根のパワハラ認定により精神的苦痛を受けた」として、金田氏は日Pを相手に損害賠償請求訴訟を起こした。そして25年6月、宇都宮地裁で金田氏の主張を全面的に受け入れる形で和解が成立。日Pはホームページで、和解内容に基づき、当時のハラスメント対策委員会の手続きに落ち度があったことを公表した。これは実質的に、金田氏の解職が不適正であったことを認めるものといえる。
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