信頼失墜「会員100万人減」、相次ぐ退会で揺れる日本PTA全国協議会の迷走…その傍らで新たに生まれた全国組織とネットワークの存在意義

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PTAの組織関係

日Pの会員離れの背景には、一連の不祥事がある。23年度に日P会長を務めていた金田淳氏が事務職員へのパワハラを理由に突然解職される騒動が起きたが、その裏では、元参与の青羽章仁被告による背任行為が行われていた。

青羽被告は、日Pが発注した工事代金を水増しし、約1200万円の損害を与えたとして24年7月、背任容疑で逮捕された(25年9月26日、さいたま地裁で懲役3年6カ月求刑、判決は10月21日)。同年12月には、内閣府から「法人運営が不適切」として公益法人認定法に基づく是正勧告を受ける事態となった。

これに対し日Pは、25年3月、改善計画を提出。内閣府の監督のもと、運営に改善が見られない場合は、勧告よりも重い「命令」や、公益認定の取り消しといった処分が下される可能性がある。

千葉県P連「閉ざされた上部組織」との決別

21年〜22年に千葉県PTA連絡協議会会長、23年顧問、24年相談役を務め、日Pと4年間関わってきた濱詰大介氏は、こう話す。

「日Pは、全国のPTAを代表して皆の意見をまとめ、それを社会に発信する役割を担うべき存在であるはずです。しかし実態はまったく異なるものでした。一番の問題は、組織運営の閉鎖性です。全国のPTA代表者が集まって話し合う『代表者会議』があるのに、そこで議論されたことが意思決定にほとんど反映されませんでした。それどころか、重要なことの多くはごく一部の幹部だけで決められていました」

こうした不信感に加え、決定的だったのが、元参与である青羽氏の不祥事が発覚した後の日Pの対応だという。

「私たちはきちんと説明責任を果たしてほしいと求めましたが、幹部からは『私たちは悪くない』という言い訳ばかりで、組織として責任を認めようとしませんでした。さらに、情報公開請求にも十分に応じませんでした。こうした姿勢を見て『これ以上、県の会員の皆さんに納得のいく説明ができない』と判断し、日Pからの退会を決めました」

上部組織からの離脱は、全国的なネットワークや交流の場を失うというデメリットを伴うが、各PTA組織が自律的に活動する力を高める契機ともなり得る。

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