小学校受験で「わが子の足を引っ張る親」の失敗エピソード、"やらかし"に学ぶ面接対策 ミス乗り越えた家族の「成功ストーリー」も紹介
失敗を乗り越えて見事合格した、2家族のストーリー
面接で手応えを感じて無事に合格した親子も、最初から順風満帆だったわけではありません。ここから紹介する家庭は、どちらも途中で「これではいけない」と思い直し、気持ちと行動を改めています。
家族が一丸となって失敗経験を乗り越えたことは、家族にとって大きな強みと自信につながるのです。
【父親が海外に単身赴任したAちゃんのケース】
Aちゃんの両親が受験を決めたのは年中の春。しかし、その夏に突然父親の海外赴任がきまり、長期休みだけ父親が日本に帰ってくるという生活をしていました。そして年長の春、親子でコノユメSCHOOLの面接演習に参加しました。
そのときお父さんは「最近のお子さまの様子で、成長を感じたのはどのようなことですか?」と質問され、答えをまったく思いつけなかったのです。
娘とは仲良しだと思っていたし、定期的に帰国してコミュニケーションを取っていたのだから大丈夫だろう、と高をくくっていたのだそうです。お父さんは「これはまずい」と思い直し、テレビ電話で毎日Aちゃんと話す時間を作るようにしました。
そこから、2人は「今日はどんなことがあった?」「それは大変だったね。そのときどんな気持ちだった?」と日々の出来事や感じたことを伝え合いました。お父さんはAちゃんに「いつも応援しているよ」というメッセージを伝えることも忘れませんでした。またAちゃんは、自分が描いた絵やカードをエアメールでお父さんに送るために、絵画や工作の練習も頑張るようになったそうです。
その甲斐あって、物理的な距離はあっても心の距離が近く保たれ、家族は一致団結していきました。面接本番の日は父親も一時帰国して家族全員で面接に臨み、見事、倍率10倍を超える女子校に合格しました。
【共働き家庭で親がとにかく忙しいBくんのケース】
Bくんの家庭は共働きで、とくに父親は毎日帰宅が遅く、平日に顔を合わせることはほとんどない状況でした。面接演習を受けても、父親は各学校の特徴に基づいた志望理由を話すことができず、Bくんの長所や家族のエピソードも出てきません。しかし、当時のお父さんは「まあ、本番までにはなんとかなるはず。今はこんなもんだろう」とあまり重く捉えていませんでした。
受験まであと3カ月となったある日、穏やかな性格のBくんが、突然堰を切ったように泣き始めました。理由を聞いてもよくわからない状況でしたが、とにかく感情があふれ出しているようでした。その姿を見て、Bくんが小さい体で精一杯がんばっていることを感じ、両親も奮起したのです。
とはいえ、平日の帰宅時間を早めることはできないため、父親とBくんは交換日記をすることにしました。また、休日は父子2人で公園に出かけたり、週末はお姉さんも交えて必ずトランプやかるたで遊ぶ時間を設けるなど、できる限り積極的なコミュニケーションを心がけました。
Bくんの頑張りを後押しできるようにと、子どもたちが寝た後に夫婦で面接練習をしたり、答える内容を文字で整理し、メールでのやり取りもしながら意識合わせをしたそうです。
「(Bくんに)笑顔が増えたのが、一番嬉しい」というお父さんの言葉が印象的でした。親がBくんの頑張りに目を向けたことが、Bくんの自己肯定感を高めることにつながりました。また、コミュニケーションの密度を意識したことで家族一丸となることができ、面接本番でBくんは両親に見守られながら、元気よく発言して本領発揮。見事、本命の小学校に合格しました。