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「言葉にならない衝撃」。トランプ政権の反「mRNAワクチン」政策、在米日本人研究者が明かす現場の危機感と不安

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mRNAワクチン研究の支援中止は、その予兆がいくつもあった。

1つ目は、3月に米国立衛生研究所(NIH)がすでに提出された助成金の申請書や進行中の助成プロジェクトの中から、mRNA関連のものを抽出して報告させる動きがあったことだ。NIHの職員が研究者に対し、今後の申請の際、「mRNAワクチン技術」という言葉を外すよう求めたとも報じられている。

Bさんも共同研究先の有力大学の教員たちが「申請書にmRNAと書かないほうがいい」と話すのを実際に聞いている。

2つ目は、5月、ケネディ氏が米疾病対策センター(CDC)による新型コロナワクチンの接種推奨対象から、健康な子どもと妊婦を外すと発表したことだ。また、HHSは同月、米製薬企業・モデルナと結んでいた、鳥インフルエンザに対するmRNAワクチンの研究開発を支援する契約を打ち切った。

さらに6月、ケネディ氏は、CDCの予防接種の方針づくりに科学的助言を行う諮問委員会のメンバー17人全員を解任し、自身が選んだ新メンバーに置き換えた。

冒頭のAさんは「業界内ではかなり前から、ケネディ氏がmRNAワクチンの研究開発を中止しようとしていると噂になっていた。だから8月5日の発表自体にそれほどの驚きはなかった」と振り返る。

「ただし、感染症用ワクチン以外の応用研究は継続して支援すると表明した。これは新しい情報だった」(Aさん)

ワクチン以外は認める政策

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