日銀の言う通り、確かにもともとゼロの関税が引き上がったこと自体は景気の下振れ要因であろう。ただ、金融市場では「企業の収益水準は高く、関税の悪影響は容易に吸収できる」(運用会社エコノミスト)との見方が強い。
景気の先行指標として株式市場は常に正しいわけではないが、関税交渉合意後の堅調地合いが今後の景気動向を示唆するなら、「日銀は先行きを過度に悲観している」(外資系ファンド)ように見える。
この間、物価は高止まりが続く。消費者物価(除く生鮮食品)は2022年度から3%に近い上昇が続き、日銀の2%目標を大きく上回る。日銀は「基調的な物価」が2%を下回るため、利上げに慎重だが、すでに3年も続く物価高が「基調的な動き」となった感が強い。
市場では「利上げしたくないから基調的な物価の低さを強調している」(先の運用会社エコノミスト)との声すら聞かれる。
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