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「投信半減」に突き進む野村アセットマネジメントの反省と、その先にある新境地。小池社長「拡大する投資の受け皿をつくる」

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野村アセットマネジメント小池広靖社長
小池広靖(こいけ・ひろやす)/1990年野村証券入社。支店営業や金融法人部、リスク・ソリューション部長を経て、2016年金融法人、公共法人担当役員。2018年コーポレート・ファイナンス担当常務。2020年に野村アセットマネジメント副社長になり、2021年4月から社長(撮影:尾形文繁)

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運用資産残高93兆円を誇る国内最大の資産運用会社、野村アセットマネジメント。同社は2023年、約700本ある投資信託の本数を2030年までに半減させる計画を発表した。2025年6月には、かつて資産残高が1兆円あった主力投信の「ノムラ日本株戦略ファンド」を「ノムラ・ジャパン・オープン」に併合し、大きな話題を呼んだ。「投信半減」の先にどのような新境地を拓いていくのか。小池広靖社長に直撃した。 

――野村アセットマネジメントは、2030年までに投信本数を半分にすると宣言しています。

ここまでの進捗は順調で、予定通りにいくと思う。それまでは商品を減らしていくという発想が、社員にはなかった。その意味で、自分たちが提供している商品に真摯に向き合うカルチャー変革がこの数年で起きている。

もっとも、投信の本数を減らすことが目的になってしまってはいけない。投資家の人に喜んでもらえるよう、プロダクトのクオリティーを追求していくことが真の狙いだ。

これまで新規設定を繰り返すことで、結果的に700本もの投信が残った。このサイクルはもうやめる。もちろん新規設定は今後も行うが、自信のあるものをしっかり育てて、それぞれの投信の残高を増やしていく方針のもと変革を進めていく。

聖域なきプロダクト改革

――かつて1兆円ファンドだった「ノムラ日本株戦略ファンド」も併合しました。

以前から、ファンドの数が多いという問題意識を持っていた。これをどう整理していくべきかという議論が社内であり、すべての投資信託に緑・黄・赤のレーティング(評価)をつけていった。

赤がついたものは問題があるから黄にする努力をしよう、最終的には緑にする努力をしようという取り組みだ。一方で、改善が進まず、最終的に他のファンドに併合したり、償還して違う投資のあり方を模索したりするほうがいいという判断になれば、併合や償還を行う。加えて、この取り組みを「ファンドレビューレポート」として開示することにした。

そうした中で、ノムラ日本株戦略ファンドに赤がついた。これにはわれわれもびっくりしたし、大型ファンドだったので販売会社もびっくりしたはずだ。

ノムラ日本株戦略ファンドは、大型・中型・グロースとある3つのカテゴリーのポートフォリオの中身を入れ替えながら超過リターンを狙うファンドだったが、これがうまく機能しなかった。パフォーマンスやコスト改善に取り組んだが、持続的に期待アルファを生み出す運用手法ではないと判断し、2年経ったところで「ノムラ・ジャパン・オープン」に併合することにした。

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