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〈反論〉セブン&アイ社長が明かすカナダ競合による"買収提案の裏側"・・・「彼らの主張は誤りばかり」「独禁法クリアへの具体策を提示しなかった」

スティーブン・ヘイズ・デイカス/1960年11月、アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれる。ファーストリテイリングやウォルマートで経営幹部を歴任。ウォルマート傘下時の西友ではCEOも務めた。2022年5月にセブン&アイHD社外取締役、2025年5月に社長CEOに就任(撮影:尾形文繫)
スティーブン・ヘイズ・デイカス氏が社長に5月に就任し、新体制として船出したセブン&アイ・ホールディングス。
7月中旬にはカナダの競合、アリマンタシォン・クシュタールとの約1年間に及ぶ交渉が決裂し、同社がセブン&アイへの買収提案を撤回した。クシュタールはセブン&アイの交渉姿勢が消極的だとして、破談の責任を厳しく糾弾した。
クシュタールとの交渉の裏でいったい何が起きていたのか。国内市場の成長余地や、後継者に対する考え方も含め、デイカス氏を直撃した。
具体的な解決策を明確にしなかった
――7月にはカナダの競合、クシュタールが買収提案を撤回しました。その際のリリースやこれまでの経緯で、セブン&アイ側の情報開示や交渉姿勢について批判しています。デイカスさんは新社長内定の前日まで、交渉に当たる特別委員会の委員長でした。
前提として、彼らのそのような主張は誤りばかりだ。しかし中でも、その書簡(撤回を発表したリリース)を読んで驚いたのは、「すべては彼ら(セブン&アイ)のせいなんだ」という言い方。ついに本当の姿を現したな、と。
交渉に当たって、一番難しかったのはやはり独占禁止法上の課題だ。提案の数カ月後にはFTC(アメリカの連邦取引委員会〈※日本の公正取引委員会に相当〉)の反対で訴訟に発展していたアメリカ大手スーパー同士の合併が、裁判所に認められなかった。
自分より大きな企業の買収を目指すとなれば、私なら前もって解決計画を策定して提示する。しかし、彼らに何度尋ねても「We have a clear path to FTC approval」(私たちにはFTCの承認を得るための明確な手段がある)と繰り返すだけ。「clear path」ってなに、と。具体的に見せてください、と。でも中身がなかった。
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