一方、東京、大阪に挟まれた名古屋は長年、人気アーティストのライブやイベントが開催されない「名古屋飛ばし」が指摘されてきた。

一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の市場調査によれば、2024年のライブ公演数は東京都で1万1277本、大阪府で5903本と全体(3万4251本)の半数を占めるのに対し、名古屋市を含む愛知県では2350本と確かに見劣りがする。
これにはライブ会場となる施設数不足、つまり「ハコ」の問題が大きいとして、名古屋エリアでの新たなアリーナの整備はコンサート興行主(プロモーター)をはじめ地元経済界から待望されていた。
ところが、IGアリーナ開業を見据えて各種ライブ公演の誘致に動いてきた地元プロモーターからは、困惑や落胆の声が上がっている。
「ハコとしては素晴らしいものなので、ぜひ使ってほしいと音楽プロダクションなどに営業に行くのだが、ことごとく断られてしまっている」と明かすのが、名古屋市のイベント企画運営会社「サンデーフォークプロモーション」の伊神悟社長だ。
展示場での100公演に対しアリーナでは「3」
名古屋エリアでは約5万人収容の「バンテリンドームナゴヤ」(名古屋市東区)を筆頭に、1万人規模の名古屋市総合体育館「日本ガイシホール」(同市南区)、1.5万人規模の市国際展示場「ポートメッセなごや」(同市港区)、1万人規模の愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」(愛知県常滑市)などがライブ会場の定番となっている。
ただ、昨年からガイシホールがアジア大会に向けた改修で来年1月まで使えなくなり、中規模のライブ公演はポートメッセかスカイエキスポの二択状態に。そこでIGアリーナが開業すれば、年60公演ほどは誘致できると伊神社長は見込んでいた。
ところが、伊神社長のサンデーフォーク社が手掛けるライブ公演は現状、ポートメッセやスカイエキスポで100公演ほど決まっているのに対し、IGアリーナではわずか「3公演」程度だという。
要因の一つは利用料金の高さだ。公表されている料金表によれば、IGアリーナのメインアリーナの興行利用料金は土日祝で1日(7時から24時の17時間以内)1430万円。これはバンテリンドームナゴヤの同条件(ただし14時間以内)の1210万円より高い。収容人数が同規模の横浜アリーナの同条件(12時間以内)650万円、大阪城ホールの同条件(12時間以内)500万円と比べると、はるかに割高となる。
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