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"教科書通り"では「破壊的イノベーション」は生まれない。最初は「ホラ」に聞こえるアイデアやビジネスやがブレイクスルーする

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そこで普及したのが、シリコンバレー式の事業創出アプローチだ。顧客は誰か。その顧客はどのような課題を抱えているか。それを解決するための具体策はどのようなものか。順番に穴埋めをしながらロジックを固め、市場規模を予測しながら、お金の流れが見えるビジネスモデルを検討し、事業案を具体化していく。

教科書通りやったらうまくいくはずだった。しかし、実際は思うようにいかず、事業を立ち上げる前に暗礁に乗り上げた。何とか立ち上げまで漕ぎ着けることができたものの、経営に苦戦している……。そういったケースが少なくないのではないだろうか。

破壊的イノベーション創出の第一関門

ここから「破壊的イノベーション」の生み出し方を考えるに当たって、「イノベーション」の定義を明確にしておきたい。

その言葉の使い方は、「新結合」「技術革新」など、人や組織によってさまざまだが、ここでは、イギリスの著名なイノベーション研究者、キース・パビットが定義する「機会を新しいアイデアへと転換し、さらにそれが広く用いられるようにする過程である」に準拠することとする。

そのイノベーションについて、世界的ベストセラー『イノベーションのジレンマ』(翔泳社)でお馴染みのクレイトン・クリステンセン教授は、「今ある製品・サービスをより良くする=従来よりも優れた機能を実現して、既存顧客のさらなる満足向上を狙う」持続的イノベーションと、「既存の主要顧客には性能が低すぎて魅力的に映らないが、新しい顧客やそれほど要求が厳しくない顧客にアピールする、シンプルで使い勝手が良く、安上がりな製品やサービスをもたらす」破壊的イノベーションがあるとしている。

勘の良い方は、すでにお気づきだろう。過去の成功のデコンストラクション(既存の枠組みや体系を解体し、再構築すること)から生まれた教科書的開発アプローチは、持続的イノベーションの創出には有効だが、破壊的イノベーションを生み出すアプローチにはならないということだ。

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