トランプ政権の減税・歳出法成立で、「再エネ潰し」が現実に。将来、停電続発、電気料金高騰の事態も
石油・ガス事業は、連邦公有地・海域におけるリース契約を年間30カ所実現し、これを15年間続ける。また、使用料(ロイヤルティ)を免除する。二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)事業は税額控除が適用され、CO2を地下に圧入し原油を増産する事業は、より優遇される。石炭については連邦公有地において400万エーカーの開発を進め、ロイヤルティを免除する。製鉄用の原料炭生産は税額控除の対象となる。石油業界などは「優先事項はすべて盛り込まれた」と評価する。

他方、クリーンエネルギーへの支援措置は、軒並み早期廃止となった。家庭用の省エネ機器への支援措置は2025年末まで、省エネ住宅・ビルへの支援措置は2026年6月までとなった。EV購入補助金の適用期限は、新車(7500ドル/台)、中古車(4000ドル/台)、商用車ともに2025年9月末までに短縮された。
家庭・商業用の充電ステーションにかかわる税額控除は2026年6月末までに短縮された。家庭・商業用太陽光発電への税額控除は、所有・リースともに2025年末で廃止となる。これらの小口需要家向けの支援措置は、選択の自由および税金の有効活用という名目により、かねて早期廃止が予告されていた。
革新技術製造は、風車のみ短縮
IRAでは、クリーンエネルギー産業の創出も重視し、製造関連も優遇の対象に加わっていた。「革新技術製造」の税額控除制度は、国内製造業復活の切り札として多くの投資を集めてきた。今回の新法でその適用期間は2032年末と基本的に維持されたが、風車については2027年末に短縮された。重要鉱物の開発は2033年末までの適用が認められ、製鉄用の原料炭が新たに追加された。
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