4万3000人が利用、"学校ではない"「通信制サポート校」を選ぶうえで注意すべきこと いまだ「学校であるかのような広告宣伝」も散見

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ではこのガイドラインにより、状況は改善しつつあるのだろうか。

「ガイドラインには現在のところ法的拘束力はありません。そのため実効性に限界があり、広域通信制高校やサポート校の広告などを見ると、いまだにサポート校が学校であると誤解させる表現が散見されます。必ずしも遵守されているわけではないと考えざるを得ません」

また内田氏は、「新たなタイプの施設が増えていることも、サポート校に対する子どもや保護者の正確な理解の妨げになっている面がある」と話す。

「繰り返しますが、サポート校の本来の役割は、生徒が通信制高校をスムーズに卒業できるように学習面や生活面での支援を行うことにあります。ところが学習支援よりも、例えばeスポーツやビジネス、ITといった分野の独自カリキュラムを強みにしたサポート校が近年目立っています。全体のカリキュラムの中で学習支援の割合が極めて少ない施設を、果たして『サポート校』と呼ぶのは適切なのか。むしろ文科省分類の『その他の施設』ではないか。制度上の問題はないものの、本来のサポート校の役割と実態にズレが生じ始めていることは、今後また別の混乱を招く恐れがあります」

不登校や高校中退によって進路を閉ざされかけた生徒や、全日制高校での学校生活が合わない生徒にとって、今や通信制高校とサポート校は未来への道を切り開くための重要な役割を担っている。だからこそ通信制高校とサポート校には、保護者や子どもたちを誤解させない透明性のある運営と正確な情報開示が求められる。

「読者の皆さんの中にも『通信制高校+サポート校』の進路を検討している方がいらっしゃるでしょう。しかしそれが唯一の選択肢ではありません。例えば不登校の方の場合、学校のある都道府県と隣県のみから生徒を募集している狭域通信制高校の中には独自に生徒に対して手厚いケアを行っている学校がありますし、多部制の定時制高校や全寮制高校もあります。そうした多様な選択肢の中から、制度を理解したうえで通信制高校およびサポート校の説明会や見学会にも足を運び、比較検討して『ここなら信頼できる。子どもを安心して通わせられる』と判断したのであれば、その選択は非常に力のあるものといえると思います」

(文:長谷川敦、注記のない写真:つむぎ/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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