4万3000人が利用、"学校ではない"「通信制サポート校」を選ぶうえで注意すべきこと いまだ「学校であるかのような広告宣伝」も散見
法改正後に起きた「JR東の通学定期券」騒動
さらに文科省は2023年に都道府県に対して法改正を踏まえた「通信制課程に係る私立高等学校の認可基準(標準例)」を通知、2025年度の学校基本調査からは通信教育連携協力施設(面接指導等実施施設、学習等支援施設、その他の施設)も調査対象に加えた。サポート校の法的位置づけと実態把握の枠組みが整ってきたのは、つい最近の話なのである。
内田氏は「文科省のこの10年の動きは堅実なものと考えられます。一方、あくまで示されたのは遵守すべき最低基準。これを土台に都道府県や各学校がしっかりと対応することが必要」と指摘する。
ちなみに、こうした制度面での整理が進む中で今春に起きたのが、JR東日本の通学定期券問題だった。これはサポート校の学校外施設としての位置づけが明確になったことを受け、同社が2025年4月よりサポート校を対象とした通学定期券の販売停止を決定したことが大きな議論を呼んだものだ。この決定に対して、サポート校に通う生徒や保護者などから多くの反対意見が寄せられたため、同社は方針を転換。引き続き2026年3月31日までは、サポート校も通学定期券の対象にすることにした。
「法改正によってサポート校は学校ではないことが明確になったわけですから、JR東日本が当初サポート校を通学定期券の対象から外すことにしたのは、法的には何ら問題はありません。とはいえ実態としてはサポート校が学校のように機能している中で、通学定期券が販売されないとなると、家庭の負担はさらに重くなります。最終的に通学定期券の延長を決定した今回のJR東日本の判断は、保護者や子どもに寄り添ったものとして評価できると思います」
誤解を招く広告も、「サポート校」を検討する際の注意点
文科省は、通信制高校に対しては「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」も策定している。その中には、施設面などハードの整備に言及するほか、サポート校を含む通信教育連携協力施設に関して以下のような内容の指針が示されている。
●実施校が行う高等学校通信教育に係る授業料と通信教育連携協力施設が独自に行う活動等に係る費用の区別について、生徒・保護者に適切かつ明確な説明が行われるようにすること。
●通信教育連携協力施設において、実施校の名称のみを掲げた看板を設置するなど、通信教育連携協力施設が実施校であるかのような誤解を招くことのないように留意すること。
ガイドラインにこうした文言が盛り込まれたということは、これまで通信制高校の中には、サポート校があたかも「学校」であるかのように誤解を招く表示や説明を行っていたり、費用の区別を明確にしていなかったりするケースが少なからずあったということだ。