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創薬ベンチャー・アンジェスは巨額赤字でどうなる? 山田英社長に聞く苦境と“逆転シナリオ”

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(イメージ写真:metamorworks/PIXTA)
2024年12月期に280億円超の過去最大の最終赤字を計上したアンジェス。なにかと話題満載のバイオベンチャーのひとつだ。有名なところでは新型コロナが起きた2020年に新型ワクチン開発に日本勢一番乗りで挑戦したが2022年にあえなく失敗、開発中止に追いこまれたことがある。同じ2020年末には、アメリカの遺伝子治療スタートアップのエメンド バイオを約260億円もの大金を投じて買収し業界の話題をさらった。
今回の巨額赤字はこれに絡んだ巨額のれん約200億円を一気に処理した減損が原因だ。これでアンジェスはコロナワクチンの開発に続く大プロジェクトが「破綻」したことになる。失敗の原因はなにか、満身創痍の老舗バイオ企業の立て直しができるのかなどの疑問を、山田英社長にぶつけた。
※本記事は「会社四季報オンライン」でも有料会員向けに配信しています

大型買収後に起きたのれんの全額減損

――前期末に買収子会社エメンドに関連して約200億円ののれんの全額減損を今回突然出しました。

今回減損を出すまでにはいろいろ経緯がある。2023年にはエメンドの研究の本拠があるイスラエルだけで今後の研究開発を行うのは難しいと考え、付き合いの長い(アメリカの)スタンフォード大学の複数の教授に相談した。

教授の一人からは「日本もイスラエルもゲノム編集(を使った遺伝子治療薬)の研究開発をする体制、エコシステムができていない。アメリカに出てくるべきだ」と言われた。特許、ノウハウ、知財などのアメリカへの移行を実行しようとした矢先の2023年10月にイスラエルとハマスの間でガザ紛争が起きてしまった。

これではもう難しいということで、2023年末には退職を募って25人を残して大半のイスラエル社員に退職してもらった。2024年は1年間、(今後注力する)研究開発のテーマを設定し、アメリカでの活動開始の準備に努めた。

今年に入ってからは、実際に研究開発の重心をアメリカに移している。これと併行してエメンドののれんを半分でなく一気に100%減損処理しようと舵を切った。いきなりやった訳ではなく、2年にも及ぶ経緯がある。

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