中国EV「蔚来汽車」、資金調達に漂う不安の深層 事業会社の増資で戦略投資家の払い込み遅延

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蔚来汽車の情報開示によれば、同社と戦略投資家3社は蔚来控股の増資引き受けの対価について、2024年11月末までに全体の7割、同年末までに残り3割を払い込む予定だった。

ところが、企業登記情報の更新記録からは蔚来汽車が2024年10月に70億元(約1432億円)を払い込んだことしか確認できず、戦略投資家3社の出資はまだ実行されていない模様だ。

鳴り物入りで立ち上げた第2ブランド「楽道」の販売実績は目標に遠く及んでいない。写真は第1号モデルのセダン「L60」(楽道のウェブサイトより)

今回出資が明らかになった合肥建翔投資と安徽高新輿文蔚源科技は、いずれも新規の株主であり、上述の戦略投資家3社と一致しない。このことは、蔚来汽車と既存株主の関係に何らかの変化が生じた可能性を示唆する。

第2ブランドは目標に届かず

市場関係者の間には、その裏に蔚来汽車の販売失速の影響があるとの見方が広がっている。蔚来汽車は高級志向の第1ブランド「蔚来(NIO)」に加えて、2024年9月から相対的に廉価な第2ブランド「楽道(ONVO)」の展開を開始。販売台数の底上げによるスケールメリットの享受を目指した。

だが、その効果は思うように上がっていない。2025年1月から2月までの蔚来ブランドの販売台数は合計約1万7000台と、前年同期(約1万8000台)よりも減少。楽道ブランドは同約1万台にとどまり、「3月までに月販2万台超」という目標達成は困難なのが実態だ。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

蔚来汽車の決算報告書によれば、同社は2024年1~3月期から3四半期連続で50億元(約1023億円)を超える最終赤字を計上している。本稿の締切時点では同年10~12月期の決算はまだ未発表だが、業績改善への期待は薄い。

そんな中、既存株主として苦楽を共にしてきた戦略投資家3社の追加出資が不透明になっていることは、蔚来汽車の先行きに暗い影を落としている。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は3月7日

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