「アルゼンチンのトランプ」意外な1年の通信簿 通貨安定のためにリバタリアンが採った手段

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他方で、この間の高インフレを受けて、アルゼンチンと近隣諸国との間では著しい内外価格差が生じているようだ。

先に述べたように、2024年の1年間で、アルゼンチンペソの対ドル相場は公定レートベースで6割、市中レートベースで2割減価した。一方で、消費者物価は2割以上も上昇したことから、内外価格差が拡大したのである。

例えば、英エコノミスト誌が2024年7月1日時点のデータとして発表したアルゼンチンのビッグマックの値段は6.54米ドル(約1000円)と、ブラジル(4.23米ドル)やチリ(4.54米ドル)に比べて高かった。

2024年後半には市中レートがペソ高ドル安に振れたこともあり、アルゼンチン国民は近隣諸国でモノを買った方が安かったようだ。

「供給増で物価下落」が間に合うか

こうした内外価格差は、主にアルゼンチンの供給力の弱さに起因するものだ。

したがって、経済の自由化が進むことで、時間の経過とともに民間部門の活力が高まり、供給力が底上げされれば、価格差は縮小すると予想される。いわゆる「クラウディング・イン効果」が生じて、アルゼンチンのモノの価格が下がることが期待されるところである。

問題は、それには相応の時間がかかるということだ。

アルゼンチンの大統領の任期は4年であり、2期まで許されている。ミレイ大統領の任期は2027年12月が期限だが、選挙戦に突入するまでに国民が改革の成果を実感できなければ、2期目は危うくなる。仮にここで左派ペロン党の候補が大統領に当選すれば、改革路線は逆転してしまう。

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