「プラザ合意2.0」で円安是正というまさかの展開 円をはじめユーロや人民元にも悪い話ではない

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年末年始の金融市場では「びっくり予想」、いわゆる金融市場に断絶をもたらすような予想外のイベントや材料を訪ねられることが多い。

筆者は2025年にブラックスワン的なイベントがあるとすれば、「プラザ合意2.0」の可能性を挙げたい。

上述したように、インフレが社会問題化している中で通貨高を是正する必要性は大きくない。それは裏を返せば、インフレが鎮静化すれば、そのドル高も争点化しやすいという意味でもある。

例えば、今後、消費者物価指数(CPI)や個人消費支出(PCE)デフレーターが物価目標である2%前後で落ち着いてきたらどうか。現状では基調的なインフレ関係指標が2%近傍で落ち着き始めているようにも見える。もちろん、底打ちして上がり始めているようにも見えるため、今はその点で過渡期とも言えるだろう。

かかる状況下、対円だけではなく、対主要通貨、言い換えれば実効相場ベースでドルが歴史的な高値をつけるような展開になれば、金融市場でも注目の論点となるのではないか。ラストベルト(錆びついた工業地帯)の支持を背負うトランプ政権としてもドル高を看過できないという判断はあり得る。

ターゲットは圧倒的な貿易黒字を誇る中国

実際、これまでもG20など国際会議の開催に合わせて「プラザ合意2.0」の可能性は取りざたされてきた。

特に2016年2月の上海G20に関しては暗黙の第2次プラザ合意としての「上海合意」があったという報道は多数見られた。その真偽や因果関係は定かではないが、上海G20の後にFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の利上げ路線が棚上げされたのは事実である。

仮に「プラザ合意2.0」が現実的に求められる場合、その大義として第2次トランプ政権はアメリカの貿易赤字の大きさを持ち出すだろう。特に、圧倒的な対米貿易黒字を誇る存在として中国が(これまで通り)敵視されることは言うまでもない。

実はG7でアメリカの次に対中貿易赤字が大きいのは日本である。日本において対中貿易赤字の大きさが争点化しているわけではないが、そもそも貿易赤字の大きさ自体が円安の一因として注目されている以上、中国の貿易黒字の大きさを理由にした「プラザ合意2.0」やこれに伴うドル高是正は日本にとって「渡りに舟」という側面もある。

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