2025年、「円高」は続かず「円安」が再びやってくる アメリカ「利下げの終わり」と日銀「利上げの終わり」

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円安に駆動された利上げは本質的におかしなことではない。

一国経済において為替は対外価値、物価は対内価値であり、表裏一体である。それを政府(財務省)と日銀で別個に掌握しようとする日本の例が世界的に特殊なのだが、問題は金融政策の通貨政策化が市場予想の中心になると、会合前後で「円売りで利上げを煽り、利上げとともに円買いで益出しする」という投機的な行為が横行しやすくなるという事実だ。通貨安に悩みやすい新興国では起きるが、先進国では稀有な事例である。

そうならないために日銀は極力、「為替と金融政策は直接的には関係がない」との情報発信に心を砕き、あくまで賃金・物価の好循環を押し出しながら利上げの継続を図ることが求められる。

1%超に利上げするのは「好循環」ではない

だが筆者は、そのロジックで進められる利上げはせいぜい0.75~1%までと考えている。裏を返せば、1%を超えて恒常的な利上げが実現しているときは、そうではないロジック、おそらくは通貨防衛色が前面に押し出されている状況と考えている。

1%を超えてもなお、利上げ期待が薄れていないような状況ではドル円相場もおそらくは(市場では円売り為替介入のポイントと目されている)160円を超える状況が定着しているケースではないか。

FRBの「利下げの終わり」が争点化する2025年後半、リスクシナリオではあるものの、そのような展開を想定してもよいだろう。

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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